タダしい競馬の見方塾 ~2021 安田記念~

安田記念を制した川田騎乗のダノンキングリー(左)

タダしい競馬の見方塾 ~2021 安田記念~

2021年6月8日 10:55

 キャリア豊富な競馬記者Aがレース結果を詳しく解説する「タダしい競馬の見方塾」。今回は6日に開催された「安田記念」編。

 8番人気の伏兵ダノンキングリーが単勝1・5倍、圧倒的1番人気グランアレグリアを倒した。戦国時代でいえば桶狭間の戦いのような結末だ。その伝説の一戦・桶狭間では兵力で完全に負けている織田信長が作戦を練りに練って、大群を率いた今川義元を撃破した。ダノンキングリー陣営も織田信長のように周到な準備をして絶対女王を打ち負かした。

 昨年の天皇賞・秋12着以来の実戦。陣営は間隔を空け、心身とも完全にリフレッシュさせるところから逆襲のシナリオをスタートさせた。真面目に走り抜くイメージのダノンキングリー。GⅠ連戦で張り詰めていた心を解きほぐすところから始めた。

 トレセンに戻ってからも精神面の工夫を重ねた。それまでウッドチップコースで行ってきた追い切りを南B(ダート)コースで行ったのだ。5月上旬あたりは一般的な美浦所属馬と同様、ウッドチップコースで追い切っていた。追い切りでない日はBコースに入るというルーティンだった。ここから先は推測だが、恐らく、Bコースに入ると非常に馬がリラックスしたのだろう。ウッドチップコースは追い切り日になると非常に混雑し、馬もテンションが上がる。馬の精神面だけ考えれば、よろしくない。ならば、馬の少ないBコースで追ってしまえ、ということではないか。Bコースでの最終追いの映像を見たが、首を下げ、非常にいいフォームで走っていた。陣営の判断は非常に良かったと思う。

 川田騎手の乗り方も素晴らしかった。スタート後、外からグランアレグリアに向けて馬体を寄せ、サッと前に入った。グランアレグリアを後ろから差すことは困難だ。だから大本命馬を真後ろに置き、その気配を背中で感じながらレースを運んだ。位置取りとしては、これ以上ない場所だった。道中の折り合いも盤石。ここまで陣営が馬にストレスをかけないよう気を配ってきたからこその折り合いだった。直線を向いてサッと外に出すと馬が伸びた。着差はわずかに頭差だったが、ジャイアントキリングに成功。川田騎手を含めた陣営全体が一体となり、ダノンキングリーが気持ち良く競馬ができる態勢を整えてきたからこその最高の結果だった。

 2着に敗れたグランアレグリア。今回は生涯初の中2週。それが微妙に影響したと言わざるを得ないだろう。まず、ポジションが理想より1列後ろだった。中2週で心身にフレッシュさが戻っていない状態。気分が乗り切っていなかったというところはあるだろう。人間に置き換えてみればいい。GⅠ級の業務が続いたら、心身とも疲弊して、勤務時間の最初から全力で飛ばすことは難しいはずだ。グランアレグリアだって、いつも気持ちがノリノリであるわけではない。サラリーマンなら彼女を責められないだろう。

 道中も厳しいマークを受けた。外に出したくても、そうはさせないぞとケイデンスコールやカテドラルがぴたりと張り付いた。その影響で直線では馬群をさばくことが必要になった。大本命馬で戦うことの難しさをルメール騎手は痛感したはずだ。それでも2着まで追い上げたのは見事というしかない。結果は残念だったがグランアレグリアの名声を汚す敗戦ではなかった。

 ♤競馬記者A スポニチSIVA運営に携わる競馬記者。取材歴は20年超のベテランで、メディア出演実績も多数。本人いわく「運だけは人一倍」。

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