「ザ・ロイヤルファミリー」P語る 人間と競走馬が紡ぐ物語に込めた思い「今の時代って生きづらい」
2025年10月11日 06:00 俳優の妻夫木聡(44)が主演を務めるTBS系日曜劇場「ザ・ロイヤルファミリー」(日曜後9・00)の第1話が12日に放送される。初回放送を前に、同作を手がける加藤章一プロデューサーに、見どころや作品に込めた思いを聞いた。(井上 侑香)
同作は、競馬の世界を舞台に、ひたすら夢を追い続けた熱き大人たちが、家族や仲間たちとの絆で奇跡を起こしていく、人間と競走馬の20年にわたる壮大な物語だ。原作は、山本周五郎賞やJRA賞馬事文化賞も受賞した早見和真氏の同名小説「ザ・ロイヤルファミリー」(新潮文庫刊)。これまで「トリリオンゲーム」(2023年)などヒット作を担当した加藤氏がプロデューサーを務める。
加藤氏と原作との出会いは2019年10月の刊行直後。知人に勧められて原作を読んだことを明かし「非常にストーリーとしても、題材としても面白いなと思いました。実は僕、競馬はやらないんです。原作を読んで馬主と牧場、牧場と言っても、生産牧場があって育成があってトレセンがあってというのを初めて知りました。そして原作でもこのドラマでもテーマになっている「継承」という部分は、サラブレッドが走るために何代も何代もつながっていくのが、人間でもそうだよなという思いがあって。すぐに新潮社さんに連絡して、早見先生とお会いしました」と振り返った。
2019年末には早見氏からドラマ化の許可を得て、2020年初頭にはJRAの全面協力を取り付けたものの、コロナ渦の影響で企画の進行が一時ストップ。「再び動き出したのが一昨年ぐらいなんです。そういう意味では足掛け5年かかっていて。「継承」としてもここでやめるわけにはいかなくて、なんとか放送までこぎつけられたのはとてもうれしく思っています」としみじみと語った。
競馬の世界が舞台となるが、「競馬を見ていない人がどう楽しめるかを、僕らは一番考えて作ってきた」と強調する。「競馬が分からない、興味がない方にも本当に見ていただきたいし、普段、競馬が好きでご覧になっている方たちも、実は裏側をご存じない方も多いんじゃないかなと思います。トレセンやファームの中もこれからどんどん映っていくので、新たな視点で楽しんでいただけたらなと思います」と呼びかけた。
人間と競走馬が紡ぐ物語にどんな願いを込めたのか。「今の時代って生きづらいとか言うじゃないですか。いろんな外圧もあるし、悩みもあるし、世界がどんどん変わっていく。先行きが見えないし、癒しがない。そうなると、夢を持ったり、何かに熱くなることが本当にしづらいなって思うんですね。なので、山王さん(佐藤浩市)みたいに「俺の夢はこうだ」と言ったり、情熱を持ったりするというのを、視聴者の方に見ていただいて、明日から頑張ろうと思っていただけたらうれしいです」。
