「ザ・ロイヤルファミリー」P語る 妻夫木聡の凄み「何気ないシーンで泣きそうに」想像超える演技に感動
2025年10月11日 06:00 俳優の妻夫木聡(44)が主演を務めるTBS系日曜劇場「ザ・ロイヤルファミリー」(日曜後9・00)の第1話が12日に放送される。豪華キャストが出演することでも反響を呼んでいる本作。初回放送を前に、加藤章一プロデューサーにキャスティングの狙いを聞いた。(井上 侑香)
同作は、競馬の世界を舞台に、ひたすら夢を追い続けた熱き大人たちが、家族や仲間たちとの絆で奇跡を起こしていく、人間と競走馬の20年にわたる壮大な物語。原作は、山本周五郎賞やJRA賞馬事文化賞も受賞した早見和真氏の同名小説「ザ・ロイヤルファミリー」(新潮文庫刊)。これまで「トリリオンゲーム」(2023年)などヒット作を担当した加藤氏がプロデューサーを務める。
妻夫木は本作で、大手税理士法人に勤める税理士・栗須栄治の波乱と情熱に満ちた20年間を演じる。さらに、豪快で人間味あふれる馬主・山王耕造を佐藤浩市、物語の鍵を握る重要な役どころを目黒蓮が演じる。
妻夫木と初タッグを組む加藤氏は「妻夫木さんとはいつかお仕事一緒にしたいなとずっと思っていました。原作だと栗須はもっとストーリーテラー的な役割なんですが、ドラマではいろんなバランスを取らなきゃいけない。なおかつ、座長として引っ張っていかないといけない。その辺は難しいんですけど、妻夫木さんのお芝居が合うんじゃないかなと思っていました」とオファーに至った経緯を説明した。
また、原作の早見和真氏からは「(主演に)妻夫木さんみたいな方はいかがですかね」との希望があったとし、加藤氏は「そこが合致したので非常に良かった」とうなずく。
加藤氏は、妻夫木の演技の凄みについて「想像の上を行くというか、想像以上のものを出していただける」とうなる。さらに「今回で言うと、台本がクランクインの時には半分以上完成していたんですが、それがほとんど頭に入っているんです。展開が頭に入っていて、俳優さんなんですけど、広い目で作品全体を見て、ストーリーの流れとか、その場のセリフの流れを見ることができる。主演の方は座長というポジションもあるので、スタッフ、キャストまとめていくんですが、そこに関しても素晴らしい」と、妻夫木の作品に対する姿勢を絶賛した。
豪快かつ情に厚い馬主・山王耕造の役どころに関しては「山王さんという役がとても難しくて。現状だとハラスメントで処分されちゃうような、なかなかいない感じの昭和っぽいおじさん。だけど本当は情に厚いみたいなところを見せる時に、ただ怖いだけのキャスティングしてしまうと、幅が少なく見えてしまう」とし、演じる佐藤浩市について「スマートでかっこよくて、昭和のおじさんっていう方ではないんですけど、逆に佐藤さんにそれをやっていただいたことで、説得力があるというか、凄い魅力があって、というところを表現するのにぴったりかなと考えました」と信頼を寄せた。
元々、数々の共演を経て親交が深いという妻夫木と佐藤。加藤氏は「実際にお2人は元々とても仲が良くて、年齢は親子ぐらい離れているんですけど、親子というよりも兄弟っぽいんですよね。その感じが、劇中の山王と栗須の関係に非常に良い意味で作用している。知らない役者さん同士がその空気感を出すのに時間かかるものですが、お二人の場合は時間が必要ありませんでした」と明かす。「クランクインで、美浦のトレセンでのシーンだったと思うんですけど、2人で並んで調教を見ている何でもないシーンだったんですが、何気ない会話をしているのを見た時に泣きそうになっちゃって。思った通りだと感じて、凄くうれしかったですね」。2人が醸し出す空気感が作品に深みを与えている。
