【社台SS展示会】種牡馬ブラック、堂々のお披露目!
2018年2月7日 05:30 「風雪ながれ旅」のごとく舞っていた雪は北島三郎オーナーの登場と同時にやんだ。生産関係者700人が熱視線を送る中、キタサンブラックがトップバッターで登場すると、一斉にシャッター音が鳴り響いた。ほれぼれする威圧感だ。
先月7日の京都での引退式以来、再会した北島オーナーは優しく目を細めた。 「ひと月ぶりに合いましたが、変わりなく元気で安心しました。冬の格好をしているのかな?と思ったらピカピカ。世話をしていただいているスタリオン関係者のおかげです。末永く面倒を見てやってください」
16年秋に頸椎(けいつい)を手術したオーナーは3年間の激動の競走生活に思いを巡らせていた。
「私が体調を崩している間も、ブラックが頑張ってくれて…。神様が与えてくれた馬。私の宝物です」
先月12日のスタッドイン以来、わずか1カ月で現役時よりも30キロ増えて570キロ。雄大な体はさらにたくましくなり、胸を張って周回した。同スタリオン事務局の徳武英介氏は「こわもての先輩馬もたくさんいるのに(先月12日の)到着直後からまるで動じない。自分の格が上と思っている。今日も、これだけ人がいて堂々としているでしょう?」と感心しきりだ。
種牡馬の準備も着々と進んでいる。10日からの本格的な種付けに向け、先月下旬に試験種付けは完了。初年度種付け料は500万円と安くはないが、ジェンティルドンナの母ドナブリーニなど約130頭の花嫁が決定。来場した武豊は「格好良くて顔もハンサム。体は大きいけれど、軽さがある。これだけの馬はそういない。お父さんのブラックタイドにも乗っていたが、SS(祖父サンデーサイレンス)の典型です」と種牡馬としての資質をアピール。初年度は150〜160頭を予定。徳武氏は「今日(6日)にも満口になりそう。1年目から結果を出したい」と熱い期待を寄せる。
北島オーナーは笑って目を輝かせ、頭を下げた。
「街を歩くと、ブラックの馬主と…。私よりキタサンブラックの方が有名になって。いいおとっつぁんにしてやってください!!」
SS系種牡馬が飽和状態の生産界。ブラックの“第二の道”は平たんでないが、G17勝を築き上げた強じんな肉体に集まる期待は大きい。順調なら来年1月にも初産駒が誕生。3年後の21年夏にもデビューを果たす。子供たちとの「まつり」が今から待ち遠しい。
◆キタサンブラック 父ブラックタイド 母シュガーハート(母の父サクラバクシンオー)牡6歳 栗東・清水久厩舎所属 馬主・大野商事 生産者・北海道日高町ヤナガワ牧場 戦績20戦12勝(G1は15年菊花賞、16年天皇賞・春、ジャパンC、17年大阪杯、天皇賞・春、天皇賞・秋、有馬記念の7勝)総獲得賞金18億7684万3000円。