【新潟記念】サーベラスと進む“菜七子ロード” 女性初重賞制覇へ「展開向けばやれる」

2019年8月29日 05:30

<新潟記念>3頭併せで追い切るゴールドサーベラス(中央手前)(撮影・西川祐介)

 夏の新潟ラストデーを飾るサマー2000シリーズ最終戦「第55回新潟記念」(9月1日)の追い切りが28日、行われた。藤田菜七子(22)とコンビを組むゴールドサーベラス(牡7=清水英)は美浦で大外一気の豪快デモ。自身が昨年に樹立したJRA女性騎手年間最多勝記録(27勝)に早くも並び、好調モードの菜七子は重賞17度目の騎乗での初Vへ、意気込みを語った。

 明らかに大外一気を想定していた。助手を背に北馬場Cコースに入ったゴールドサーベラス。大きく離れたエリンアクトレス(3歳1勝クラス)とサノチナ(2歳新馬)を追走して、序盤は折り合いに専念した。抜群の手応えのまま4角で5馬身差まで接近。直線に入って加速した。馬なりのまま大外から一気に抜き去り、4F57秒5~1F12秒2でフィニッシュ。最後は8馬身先着した。

 見守った清水英師は「前に馬を置いて抜き去る形。レースでうまく乗ってくれている菜七子にはいいイメージをそのまま持っていてほしいから乗せなかった」と意図を説明した。「スッと前に出た。いい状態で出られる」と仕上がりに自信を見せた。

 指揮官は具体的に作戦を明かした。「今の新潟には“菜七子ロード”があるよ。4角で大外を回った馬が通る、馬場の真ん中から少し外めが一番伸びる。この馬にとっては絶好。そこを通ってこられれば…」。先週日曜の芝8競走のうち5競走が差し決着。末脚武器のサーベラスにとって追い風だ。菜七子も考えは同じ。「外差しが決まっている今の馬場はいい。前走も末脚に懸ける競馬でしっかりと脚を使ったし、展開が向けばやれる」と力強い。

 菜七子は25日の札幌4R(キモンボーイ)で今年27勝目。早くも昨年の勝ち星に並んだ。素晴らしいハイペースだが「いい馬に多く乗せていただいて、勝利数は昨年に並んだけど、もっと勝たなければいけないレースもあった。現状に満足はしていません」。WASJでは参加14人中13位タイ。ただ、リサ・オールプレスとの旧交を温め、ミカエル・ミシェルの技術に感嘆し、最後は女性3人抱き合って健闘を称え合った。「結果は悔しいけど、いい経験ができた」。勝ちたい意欲は高まっている。「頑張っている子にはチャンスをあげたい。重賞を獲らせたいね。チャンスは十分ある」と清水英師。菜七子ロードを突き進んでの女性騎手初重賞Vへ。舞台装置は整った。

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