日本人ジョッキーもどんどん海外挑戦を
2020年3月13日 05:30 【競馬人生劇場・平松さとし】先週、クリストフ・ルメール騎手とミカエル・ミシェル騎手との食事の席に呼んでいただいた。
海外で取材をさせていただくようになって30年近くなるので、2人とも、初来日前から面識があった。そこで、ミシェル騎手に「フランスで乗っている時より随分とアグレッシブになったね?」と問うとニコリとして答えた。
「そうよ。NARのダートで乗るのにフランスと同じようにしていたら後方に置かれたままになっちゃうわ」
続けて日本に来た経験で大きく前進できたと語った。
「そういうスタイルも含めて、フランスで乗り続けているよりずっと勉強になるわ。毎日が刺激的だし、日本のジョッキーは上手なので1レース乗るたびに自分が上達しているのが分かるわ」
来日当初は「スイマセ~ン」と叫べば脚のない馬は前を空けてくれたが、今では簡単に空けてくれなくなったので一生懸命に追う力も以前より必要になったと笑う。
それを聞いていたルメール騎手もうなずきながら言った。
「普段乗っていないところで乗るのは刺激にもなるし勉強にもなります。僕も若い時にヨーロッパ全土はもちろん、アメリカやドバイ、インドなんかでも乗りました。全てが実となって現在の自分があります」
そして少し寂しそうな表情で続けた。
「日本のヤングジョッキーは皆、上手だけど賞金が良いから海外へ出ません。さらなるスキルアップのために海を越えれば彼らは(武)ユタカさんみたいに世界レベルになれるはずです」
ちなみにミシェル騎手はNARでの短期免許の期間を終えてもフランスへ帰らずにアメリカへ飛び、乗る予定だと言う。日本からも第2、第3のユタカタケが生まれるよう、海外を目指すジョッキーがたくさん出てきてほしいものだ。(フリーライター)