星野師“命懸けてきた”55年 騎手時代歴代最多の障害254勝

2021年2月26日 05:30

引退する星野師(中央)とみゑ子夫人(中央左)は土田厩務員(中央右)から厩舎カラーの紫のバラ100本の花束を贈られる (撮影・西川祐介)

 関東で唯一引退する星野忍師の手には厩舎カラーである紫のバラ100本の花束。息子の薫助手が厩舎での花束贈呈式を企画し、厩舎スタッフ10人と妻・みゑ子さんが師の定年を祝った。「こんなことをしてもらって…寂しい気持ちにならざるを得ないよね。本当に終わりなんだな…」

 55年間のホースマン人生に一片の悔いなし。騎手候補生5年、騎手26年、調教師24年。「楽しいことも苦しいこともたくさん。死ぬような思いもしたけど無事に終えられて幸せ。できることは全てやった」。騎手として歴代最多の障害254勝。98年に厩舎を開業し、ヤマニンアラバスタ、ネコパンチ、キングハートと3頭の重賞勝ち馬を育てた。「思い出の一頭?皆かわいいよ。順番をつけるのは好きじゃないなあ」。競走馬一頭一頭と真摯(しんし)に向き合い、個性を生かす用兵にたけた指揮官らしい言葉だ。

 ラストウイークは3頭がスタンバイ。日曜中山8Rのカイアワセがラストランとなる。「まだ週末のレースのことで頭がいっぱい。最後までいい仕事をしたい」と有終Vを目指す。「命を懸けるくらいじゃなきゃ、人生はつまらない」。身命を賭して情熱を燃やしてきた競馬に、最後まで全身全霊を傾ける。 

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