【オークス】ソダシ 祖母シラユキヒメから始まった系譜、ノーザンファーム佐々木主任に聞く
2021年5月19日 05:30 白毛一族の物語はソダシの祖母シラユキヒメから始まった。96年生まれ、父サンデーサイレンス(青鹿毛)、母ウェイブウインド(鹿毛)という血統。突然変異で生まれた白毛馬である。現役時代は9戦0勝。競走馬としては結果を出せなかったものの、繁殖になり才能が開花した。繁殖時代を担当していたノーザンファームの主任・佐々木啓氏は「性格のハッキリした子。体に触られるのが嫌で、とにかく神経質でした」と振り返る。
繁殖馬の中でも気性は荒く、時には耳を絞って威嚇をすることも。手のかかる「お姫さま」だった。そんなシラユキヒメだが、意外と種付け時はスタッフの指示に従順な子。「毎年、おとなしかったし、受胎してから出産まで、とにかく順調でした。子供の成績を見ても分かるように、お母さんとしては優秀ですね」と同氏。産駒にはソダシの母ブチコ以外にも、白毛馬による重賞初制覇を達成したユキチャン、今年の天皇賞・春に出走したシロニイなど活躍馬が多数いる。
見た目が真っ白なだけにケアは大変。放牧地から戻ってくると馬体は真っ黒。手入れには時間がかかった。他の毛色と比べて大きな違いがあるのは敏感な肌。「白毛は肌が薄くて、ほとんどの馬がブラッシングを苦手とする。太陽光や紫外線に弱いので普段から目薬、皮膚のケアには気をつけていました」と白毛ならではのエピソードを語った。
白毛一族の特徴は恵まれた馬体だという。生まれた時の子馬の平均体重が50キロなのに対し、シラユキヒメの子は60キロオーバーが大半。「どの子も他馬と比べて、ひと回り大きかった。馬体に関しては抜けて良かったです」。ソダシの誕生時は55キロだったものの母ブチコは初のお産。初子は繁殖馬として未完成なため50キロに満たない馬も多いことを思えば、かなりのビッグサイズだ。パワフルな走り、桁外れの勝負根性。これらは生まれ持った才能だろう。佐々木氏はソダシの活躍に「シラユキの孫なのでいつも応援しています。競馬界を盛り上げて、無事に現役生活を楽しんでほしい」とエールを送った。96年から現在まで受け継がれてきた真っ白な血統。その最高傑作がソダシである。