ファインニードル海外G1への足がかり

2022年1月28日 05:30

香港G1にも挑戦したファインニードル

 【競馬人生劇場・平松さとし】今週末はシルクロードS(G3)が行われる。

 2018年、このレースを勝利したのがファインニードル(栗東・高橋義忠厩舎)だ。当時5歳だったこの牡馬は、続く高松宮記念(G1)も優勝してG1ホースになると、秋にはスプリンターズS(G1)も制覇。JRAの1200メートルのG1を完全制覇し、最優秀短距離馬に選定されることになる。

 そんな当時の日本のチャンピオンスプリンターは、同年に2度、香港へ遠征。かの地のスプリントG1に挑戦した。

 結果は春のチェアマンズスプリント(G1)が4着で秋の香港スプリント(G1)は8着。この時点で、過去に香港へ挑戦した日本の短距離G1馬で通用したのはロードカナロアただ一頭。ファインニードルも他の日本からの挑戦者同様、かの地の厚い壁にはね返されてしまった。

 しかし、冷静に分析するとファインニードルはなかなかの善戦をしていた。チェアマンズスプリントの上位3頭は当時現地で3強と評価されていた馬。これに続くフィニッシュだったわけで騎乗したT・ベリー騎手は次のように語った。

 「隣のゲートボーイを気にして出負けしてしまった。あれがなければもっとやれたと思います」

 また、香港スプリントの際はゲート入りを拒む馬がいたため枠内で長い間、待たされた。高橋義師は「あれで気が抜けてしまいました」と肩を落としたが、結果8着といえ勝ち馬との差は3馬身と少し。1、2着馬は共にゲートインが遅く、枠内で待たされることのなかった馬だけに、運が味方してくれなかったとも思える結果だった。

 ちなみにチェアマンズスプリントの際は「おとなし過ぎるので気合を乗せてほしい」(高橋義師)と、いつも着用しているメンコ(耳覆い)を調教時からあえて着けずに出走した。このような臨機応変に対応した結果が短距離王国での善戦につながったのは言うまでもない。今年のシルクロードSも後の海外につながる結果が待っているかもしれない。注目しよう。 (フリーライター)

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