【弥生賞ディープインパクト記念】タスティエーラ 重賞初V 父子制覇でいざクラシック

2023年3月6日 05:27

<弥生賞ディープインパクト記念>押し切って父子制覇を飾ったタスティエーラ(左)(撮影・村上 大輔)

 皐月賞トライアル「第60回弥生賞ディープインパクト記念」が5日、中山競馬場で行われ、3番人気タスティエーラが好位から抜け出して重賞初制覇。15年の覇者サトノクラウンとの父子制覇を決め、父に産駒の重賞初制覇をプレゼントした。松山弘平(33)と堀宣行師(55)のコンビは先週の中山記念に続く2週連続重賞ジャック。3着ワンダイレクトまでが皐月賞(4月16日、中山)の優先出走権を手にした。

 父サトノクラウンにそっくりの勝ちっぷりだ。4角で好位の外に取り付いたタスティエーラ。直線を向くとギアが素早く上がって、あっという間に先頭だ。父と全く同じ。内からトップナイフ。外からワンダイレクト。しかし、長くいい脚を使って1馬身押し切った。まるでVTRと言いたくなる父子V。父にJRA初重賞をプレゼントした。松山は「自分から動いて勝ちに行く競馬ができた。素晴らしい馬」と相棒の素質を絶賛した。

 中2週での挑戦は堀厩舎としては異例だった。古馬となり、心身ともタフになってからなら例もあるが、3歳春に連続重賞で中2週は珍しい。細心の注意を払いつつ、それでも攻めた。2月26日は美浦坂路で併せ馬。1日の最終追いでもWコースで3頭併せ。クラシック戦線への並々ならぬ執念を感じさせた。キャロットファーム秋田博章代表は“強行軍”での勝利に興奮。「前走(共同通信杯4着)は切れ負けして賞金を加算できなかったから、ここを使った。前向きさがあるところが、この馬のいいところ。3~4コーナーで勝てるかなと思った。もう少し距離があっても抜かれなかったんじゃないかな。やはり力があると再認識した」。先週の中山記念では熱中症で一時は生死の境をさまよったヒシイグアスを復活Vに導いた堀厩舎。マジックがまたもさえた。

 弥生賞を最少キャリアの3戦目で制した先輩には01年アグネスタキオン、05年ディープインパクト、15年サトノクラウン、16年マカヒキがいる。まさに名馬ぞろい。タスティエーラに輝かしい未来が待つことは、ほぼ間違いない。秋田代表は「皐月賞は状態次第かな。無理はしたくない。最終目標はダービー(5月28日、東京)。距離は全く問題ない」。父と同じ道を歩むのはここまで。15年のダービーでドゥラメンテの前に3着に終わった父を大舞台で超えてみせる。

 タスティエーラ 父サトノクラウン 母パルティトゥーラ(母の父マンハッタンカフェ)牡3歳 20年3月22日生まれ 美浦・堀厩舎所属 馬主・キャロットファーム 生産者・北海道安平町のノーザンファーム 戦績3戦2勝(重賞初勝利) 総獲得賞金6772万8000円。馬名の由来はイタリア語で(楽器の)キーボード。母名(イタリア語で楽譜)からの連想。

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