【中山牝馬S】スルーセブンシーズ 5度目で重賞初制覇 ルメール 急死ハーツクライにささげる勝利

2023年3月12日 05:00

<中山牝馬ステークス>レースを制したスルーセブンシーズ、右は2着のストーリア(撮影・郡司 修)

 ハンデ戦の牝馬限定G3「第41回中山牝馬S」が11日、中山競馬場で行われ、2番人気スルーセブンシーズが中団追走から豪快に差し切った。鞍上のクリストフ・ルメール(43)は先週のオーシャンSに続き、2週連続の重賞V。9日に起立不能となり急死した相棒ハーツクライにささげる勝利となった。

 5年ぶりとなった3・11の中央競馬開催。共に11年にターフを去った両親の間に生まれた遅咲きの5歳牝馬スルーセブンシーズが、5度目の挑戦で念願の重賞タイトルをつかんだ。

 馬群の外々を回る黄色の帽子の勢いが違う。4角から一気に捲り、先行勢をのみこむ。「中団からマイペースで徐々に上がっていくと手応えが凄かった。息、フットワークも良かった。直線に向いてからも凄い脚を使ってくれた」。鞍上のルメールが右ステッキで合図すると、食い下がるストーリアを楽々と1馬身1/4突き放してみせた。

 ルメールにとっても特別な1勝。「一生忘れないチャンピオン」と語るハーツクライが9日に急死。同馬と共にディープインパクトに土をつけた05年有馬記念が、自身にとってJRAのG1初制覇だった。「あれが全ての始まり。ありがとうと伝えたい」。訃報を伝え聞いてから最初の開催日。その有馬と同じ黄色の帽子で中山競馬場のゴール板を先頭で駆け抜けた。

 次走は未定も、尾関師は「時計が速い芝がどうかと思っていたが杞憂(きゆう)だった。芯が入ってパフォーマンスが上がっている。(所属クラブの規定で6歳春で引退のため)あと1年ですから、大きいところに挑戦したい」とG1奪取に意欲満々。ルメールも「ゴール地点でも余裕があったし楽勝。今より上のクラスに行けると思う」とポテンシャルに太鼓判を押した。3歳時に、はね返されたG1の壁を越える時が近づいている。

 ◆スルーセブンシーズ 父ドリームジャーニー 母マイティースルー(母の父クロフネ)18年4月8日生まれ 牝5歳 美浦・尾関厩舎所属 馬主・キャロットファーム 生産者・北海道安平町のノーザンファーム 戦績11戦4勝(重賞初勝利) 総獲得賞金1億264万8000円 世界中での活躍を願い、英語で「7つの海を越えて」と命名。

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