2年目19歳・佐々木の夏がアツいぜ!函館最年少リーディングへ「僕のこれまでの人生に賞は縁がない」
2023年7月14日 05:30 2歳Sと記念の函館2重賞を含む3場(福島、中京、函館)の出走馬が13日、確定した。最終週を迎えた函館は開催リーディング首位を走る佐々木大輔(19)に土日19鞍の騎乗依頼。新風を吹き込むデビュー2年目の若武者がさらに勝ち星を積み重ね、函館の夏を締めくくる意気込みだ。
函館の最終週は記念と2歳Sの重賞2本立てだが、リーディング争いも注目。地殻変動を起こしているのはデビュー2年目の佐々木大輔だ。現在18勝で首位。2位の藤岡佑に5勝差をつけており、ほぼ確実としている。19歳で函館リーディング奪取となれば84年のグレード制導入後、中舘英二(85年、当時20歳)の記録を更新し、史上最年少の話題がついてくる。
「中舘さん、と聞けば確かに年月は感じます。でも、僕のこれまでの人生に賞は縁がありません。競馬学校ではナントカ賞とか、いろいろあったのに同期では僕だけ該当なし。だから5勝差でも、まだ分かりません」
ならば人生初の賞状が目前にある。デビュー年はわずか9勝。それが2年目の今シーズンはここまで37勝と大きく飛躍。「昨年は同期の今村聖奈の活躍に嫉妬したし、角田大河も目立っていた。僕は下手クソでした」と笑う。素質開花の要因を探っても「馬の質が良くなった」と繰り返すのみだが「昨年は(騎乗馬が)100倍近いオッズで、この夏は10倍を切るオッズ」は1年前との違いを伝えるのに分かりやすい表現だ。
父の幸二さんはフランスの凱旋門賞に出走したエルコンドルパサーやナカヤマフェスタ(いずれも2着)を仕上げた当時の二ノ宮厩舎の調教助手。「エルコンドルパサーが活躍した時、僕は生まれていません。ナカヤマフェスタの遠征は凱旋門賞を見ていないけど夏休みを利用してフランスへ行きました」と振り返り「(シャンティイの森で)たくさんいるカタツムリを捕っていました。あれはフランス料理に使えるんですね」と話は脱線した。
真面目キャラと思いきや、こうして楽しい話も提供。若者なら携帯電話にゲームのアプリを入れていそうなものだが「永遠にやりそうなので入れない」と言い、中学の中間・期末テストでは再三、学年トップになったことも判明。照れながら「偏差値はまあまあ高かったです」と明かした。
「3キロ減で函館に入れたことが大きかったです。3キロ減、2キロ減、1キロ減と減量のアドバンテージが減っても、しっかり結果を出さないと生き残れない」
重賞は伏兵の騎乗馬だが独走のリーディングで話題をさらう。
《朝から函館入りも「大赤字です…」》水曜夜に門別の地方交流レースに参戦した佐々木。「木曜の朝は(函館に)いないです」と公言していたが、その日の函館競馬場に、その姿は…あった。調教を依頼されたため戻ってきたそうだが、最寄りから鉄道利用では不可能に近い。「電車とタクシー。(交流戦5着の賞金では)大赤字です」と、タクシーが高額な値段だったらしく頭を抱えるポーズも、ほほ笑ましいものだった。
◇佐々木 大輔(ささき・だいすけ)2003年(平15)11月24日生まれ、茨城県出身の19歳。父・幸二氏は二ノ宮厩舎の調教助手としてエルコンドルパサーやナカヤマフェスタなどに携わり、現在は堀厩舎のスタッフ。昨年3月に美浦・菊川厩舎所属でデビューし、4月10日の中山8R(スイートカルデア)でJRA初勝利。同期に今村聖奈、角田大河らがいる。今年JRA37勝で関東リーディング5位。JRA通算636戦46勝。1メートル62、47キロ。