【エルムS】史上初の“北の砂3冠”へ!流れはペプチドナイルに
2023年8月2日 05:30 史上初“3冠達成”なるか。北のダート重賞「第28回エルムS」に出走するペプチドナイルは大沼S、マリーンSに続く3連勝を狙う。重賞出走馬にスポットを当てる「推しの馬」で、札幌出張中の高木記者が“臨戦と出来”、“前走の分析”、“陣営の士気”という3つの角度から推しポイントを挙げた。
函館の大沼S、マリーンSを連勝したペプチドナイル。武英師は「古馬なんですけど、環境変わりにあまり強い方じゃない。2走前も(函館に)入ってきてイレ込みがひどかった。栗東から連れてきて初日に乗った次の日にスクんで動けなくなった。大沼Sは使えないかと投票の日まで悩んだぐらい」と明かす。
それでいて連勝と結果を残した。北海道の水がよほど合っているのだろう。そして、今夏の北海道3戦目となる札幌では実にリラックスした姿で調整を続けている。中間は牧場への短期放牧を挟み、札幌競馬場に移動。高ぶる様子はない。「今回は順調。テンションも凄くいいですよ」。レース当日に輸送のない滞在競馬が、この馬にとって大きなプラスとなる。
好メンバーがそろった前走・マリーンSで鮮やかな逃げ切り勝ち。余裕を持って、2着馬を3馬身半突き放した。圧倒的なパフォーマンスに見えたが、武英師は「前回が右後肢、前々回が両後肢の落鉄と右前の鉄はずれていた。まだ走りが緩くて安定していない分、薄いダートだと落鉄が多い馬。それであのパフォーマンスですからね」と説明。アクシデントがなければもっと楽に勝てていた可能性もある。「今回は接着装蹄で臨むかもしれない」と話しており、さらなる上積みも?能力全開の走りに期待したい。
ここを勝てば史上初の北海道ダート3冠(大沼S、マリーンS、エルムS)達成。実は武英師には苦い思い出がある。木原厩舎の技術調教師として携わったテイエムジンソクが17年大沼SとマリーンSを連勝。「調教では僕が乗っていたんです。エルムSで2着に負けてしまって…」。間隔の詰まった3戦を走り切る難しさを痛感。今年は3冠参戦前から当時の経験を生かすつもりだった。「最初からここが目標。(前走の)マリーンSは追い切りもほとんどやらず。(馬を)“つくりすぎるな”と富田に言っていたし、担当にも“次だよ”と。今回は目イチでいっている」。理想的な上昇カーブを描きつつ、それでいて意図しうる最上限の連勝という結果。最高の状態で3冠目を迎える。
「何とか富田に初重賞を。僕がジョッキー時代からお世話になっているオーナーにも重賞タイトルをプレゼントしたい。個人的にめちゃくちゃ力が入っています」とかなりの意気込みだ。札幌から多くの方に教えたい3つの推し要素。史上初の“3冠達成”へ、視界は良好だ。