イクイノックス感動ありがとう!最強馬に1万6000人別れ、アーモンドアイと40億円べビー誕生も

2023年12月17日 05:30

引退式に臨んだイクイノックス(撮影・郡司 修)

 歴代最高となる22億円超の賞金を獲得し、先月26日のジャパンCでラストランを飾ったイクイノックス(牡4)の引退式が16日、中山競馬場で行われた。G1・6連勝、今年無敗のままターフを去る名馬の新たな門出を、場内1万6000人のファンが祝福。初年度の“花嫁”候補には、同じ勝負服でG1・9勝の名牝アーモンドアイの名前も。夢の“40億円ベビー”誕生に期待がかかる。

 12月とは思えない暖かな中山ターフを、イクイノックスは穏やかな表情でゆっくりと歩いた。最終レース終了後、場内に残った1万6000人のファンからは「感動をありがとう!」の絶叫。カクテル光線に照らされたパーフェクトな馬体、しなやかな歩み。そこには芸術的な美しさがあった。木村師は「夢中で夢の中にいたような、凝縮された2年間でした。引退の日を迎えて本当にホッとしています」と愛馬の最後の雄姿を優しく見つめていた。

 式典中、全10戦で手綱を取ったルメールがポロリと漏らした夢の配合プラン。順調なら来年2月上旬から種付けが始まるが、目玉の花嫁候補は同じシルクレーシングでG1・9勝を挙げたアーモンドアイだ。実現すれば、歴代獲得賞金額ワンツー、合計40億円以上のゴールデンカップル。ルメールは「アーモンドアイとイクイノックスの子はまた世界一になります」と笑顔で語った。

 内国産馬の初年度種付け料としては史上最高額の2000万円が設定されたイクイノックス。日本でさらなる進化を遂げたサンデーサイレンス系として、国内外からオファーが殺到する見込みだ。生産したノーザンファーム代表の吉田勝己氏は「(アーモンドアイは)付けざるを得ないでしょう。他にもたくさんいるので、いい牝馬をズラリと付けますよ」と説明。産駒は早ければ27年夏にデビュー。木村師は「スタッフとともにいつかイクイノックスの子で東京2400メートルに戻ってきたい」と目を細めた。

 同馬は17日夕方に中継地のノーザンファーム天栄(福島県)を出発。18日に、けい養先の社台スタリオンステーション(北海道安平町)に入る予定。1分55秒2の衝撃レコードで駆け抜けた天皇賞・秋など、まさに新時代を切り開いた令和の怪物。伝説のままターフを去り、次は種牡馬としての新たな物語が待っている。

 ▼シルクレーシング米本昌史代表 この秋の完成形とも言えるこの馬の走りは、力強くしなやかで美しいものであり、見るもの全てを魅了するものであったと思います。2年余りの間、本当にいつも温かいご声援をありがとうございました。そしてイクイノックス、ありがとう。あなたの素晴らしい走りを脳裏に焼き付け、父イクイノックスという競走馬がまたこのターフを躍動することを楽しみにお別れしたいと思います。

 ▼阿部孝紀助手 他の馬とは違う、首の上下の使い方、本当に物凄い動きで自分自身も毎日毎日びっくりしていました。寂しい気持ちはあるんですけど、次のステップに向けてまた頑張ってほしいと思います。子供たちにも頑張ってほしいです。

 ▼楠友広厩務員 基本的にとてもおとなしくて穏やかな馬ですが、寂しがり屋で、凄い繊細な心も持ちながら、たくましい部分と両方を兼ね備えた馬だという印象でした。何よりホッとしている気持ちが一番大きいです。「本当にお疲れさま」と「ありがとう」を伝えたいです。

 ◆イクイノックス 父キタサンブラック 母シャトーブランシュ(母の父キングヘイロー)19年3月23日生まれ 牡4歳 美浦・木村厩舎所属 馬主・シルクレーシング 生産者・北海道安平町のノーザンファーム 戦績10戦8勝(海外1戦1勝、重賞7勝)総獲得賞金22億1544万6100円 馬名の由来は昼と夜の長さがほぼ等しくなる時。

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