小牧太 地方騎手免許試験合格!史上初の再移籍、8月園田から騎乗へ
2024年7月20日 05:15 活躍の場を求めるベテランが道を切り開いた。NAR(地方競馬全国協会)は19日、2024年度第1回騎手免許試験の新規合格者を発表。JRA通算910勝の実績を誇る小牧太(56)が合格した。中央移籍から20年、兵庫の元トップジョッキーが史上初の再移籍で思い出の地へ。8月1日に免許が交付され、中塚猛厩舎に所属予定。第10回園田競馬(7月31日~8月9日)は騎乗申し込みが間に合わず、早ければ8月14日の第11回園田競馬から騎乗し、騎手人生の第3章が幕を開ける。
56歳に届いたサクラサクの一報。19日、NARが発表した騎手免許合格者に堂々とJRA騎手「小牧太」の名前が並んだ。
地方競馬では3000勝を超え、JRAでも通算910勝の白星を重ねた小牧太が「まだやりたい!やれる!」として飽くなきチャレンジで目指した史上初のJRA所属から地方競馬への復帰。
「受かるとは思ったけどホッとした。やっぱりうれしい。56歳の年齢で手にする合格発表は一般の人もなかなかいないでしょうし、ジョッキーとして挑戦できるのはうれしい、ありがたい。元気な体に産んでくれた親に感謝です」
ダイエットした効果で心なしか痩せたようにも見える頬を緩めて安堵(あんど)した。大好きなアルコールは今月から禁酒。決して合格への願掛けではなく「体をリセットする意味で禁酒したら案の定、絞れた」と体の変化を実感。とはいえ中京記念のレースを終えた21日夜の痛飲を公言するのも小牧太らしい一面だ。
今月末までJRAの免許を保持するが、次週に騎乗予定馬がないことから、実質的に21日が最終騎乗となる見込み。その日は中京記念のワールドリバイバルを含め8、12Rと計3鞍。「JRAの騎手仲間、厩舎の皆さんらと離れる寂しさはあるが、同時に地方競馬でどれだけやれるか、というワクワク感もある。今週はJRAジョッキーとして集大成、魂の騎乗をお見せしたい」と言葉に力を込めた。家族、友人、知人らが小倉競馬場に駆けつけて応援することになっている。かつて「泣き虫ジョッキー フトシっ!」と題した本を出版したように涙もろさを自認。08年にレジネッタで桜花賞を勝った時ですら「全国の皆さん、お待たせしました」と、おちゃらけたが、JRAのラスト騎乗後は涙腺崩壊が待っていそうだ。
◇小牧 太(こまき・ふとし)1967年(昭42)9月7日生まれ、鹿児島県出身の56歳。85年にデビューし、兵庫のトップジョッキーとして9年連続を含む10度のリーディング獲得。04年に中央に移籍し、レジネッタに騎乗した08年桜花賞が49度目の挑戦で悲願のG1初制覇。JRA通算1万1736戦910勝、うち重賞34勝。1メートル60、52キロ。
《息子・加矢太祝福》小牧太の合格を受け、息子の加矢太(27)も祝福の声を寄せた。「凄いですね。僕がこういう世界に入れたのも父親のおかげ。常に面白いことを考える、ひらめき人間なんですよ。冬場には暖かい靴下を探してきたり、何か工夫していますね」と父の行動力に感心しきり。親子としても良好な関係を築いている。「父というより少し年上の先輩、友達みたいな関係です。地方に復帰しても今まで通り、関係は変わらないですね。普通に応援にも行くと思います」と息子なりのエールを送った。
▼小牧毅師(弟で兵庫の調教師)兵庫に戻ってきてくれて良かった。人間性が良く、周りの人から愛される兄です。今のジョッキーの子らには、いい勉強になる。厳しい時代に育って、その時に兵庫だけでなく、全国のリーディングを獲っていますから。レベルアップにつながると思います。
▼松本幸祐(兵庫在籍時の弟弟子)伝説の兄弟子の復帰は心からうれしい。自分がデビューしたての頃はいろいろ教えていただいたんですが、理解できなかったことが多くて…。でも、今ならその時に分からなかったことも理解できると思います。戻ってくるのは自分にとっても凄くプラス。これからデビューする子らにとってもレースを間近で見るだけで、いい勉強になると思います。兵庫県競馬にとっても凄くいい方へ向かうと思っています。
▼笹田師(騎手別で小牧太への騎乗依頼が最も多いトレーナー)合格おめでとうございます。まだまだ(騎手を)続けられると思っているので、いい決断だったと思います。これからはJRA交流レースで依頼できれば、と思います。園田のジョッキーとして体力が続く限り、頑張ってください。
《高木、筒井も合格》小牧太の他、笠松の元騎手で現在は厩務員を務める高木健(59=笠松・田口輝彦厩舎)、筒井勇介(41=笠松・田口輝彦厩舎)もNAR騎手免許試験に合格した。両騎手は21年の馬券不正購入事件で岐阜県競馬組合から競馬関与停止の処分を受け、騎手免許を取り消されていたが処分取り消しの訴訟に勝訴。高木は地方通算1113勝、筒井は同1276勝で19&20年に2年連続で笠松リーディングに輝いた。
また、NAR調教師試験の新規合格者は池田敦(47=金沢・高橋俊之厩舎、現職種は騎手)、堀場裕充(47=金沢・加藤和宏厩舎、騎手)、荒木道哉(54=笠松・加藤幸保厩舎、厩務員)、森山広大(31=笠松・森山英雄厩舎、厩務員)の4人。