日本を愛し愛されたA・オブライエン師

2024年11月29日 05:05

引退式に臨んだオーギュストロダンと管理するA・オブライエン師(左から3人目)、騎乗したR・ムーア(右から2人目)(撮影・郡司修)

 【競馬人生劇場・平松さとし】
 先週行われたジャパンCは1番人気ドウデュースが勝利。レジェンド武豊騎手の手綱さばきが光るレースに当日競馬場を訪れた約8万人のファンが熱狂した。

 その騎乗ぶりに目をむいたのはファンばかりではなかった。このレースには海外から3頭の挑戦があったが、中でも話題となっていたのがオーギュストロダン。ディープインパクトのラストクロップということでも注目を集めたこの馬は、アイルランドが誇る世界的名調教師であるエイダン・オブライエン調教師の管理馬。調教師自身、過去に何回もジャパンCに挑戦したことがあったが、本人が日本を訪れたのは今回が初めて。1週間弱の滞在の間に、美浦トレセンまで足を運ぶなど、精力的に動き回り「東京競馬場の素晴らしい施設にも感動した」と語った。そして、レース後には「ユタカタケが素晴らしかった」と勝者を称賛し、潔く敗北を認めた。

 「オーギュストロダンも頑張って走ってくれました。ただ、今回はドウデュースのユタカの完璧な騎乗ぶりにやられてしまいました。遅い流れだったのは、私たちの馬には有利に運ばなかったけど、ユタカはそれを見事に味方につけ、ドウデュースの力を存分に発揮させたと思います」

 また、レース後にはJRAの計らいでオーギュストロダンの引退お披露目式が行われた。ヨーロッパにはないこのイベントにも目をぱちくりして言った。

 「レース後の競馬場にあれほど多くのファンが残り、オーギュストロダンの最後の姿を見送ってくれました。日本の競馬ファンのディープインパクトに対する思いや、競馬をスポーツとしてとらえているマインドを知ることができて、非常にうれしく思いました」

 最後に「是非また日本に来てください」と伝えようと思っていたのだが、そう発する前に、彼の方から口を開いた。
 「また日本に来たいし、いつかはジャパンCを勝ちたい。今回の遠征で強くそう感じました」

 伯楽の再来日を期待しよう。 (フリーライター)

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