【地方競馬のトップ、引退会見】森泰斗「心技体のうち心と体が衰えた。怖い仕事と思うようになった」

2024年11月29日 13:32

引退会見に臨む森泰斗騎手(撮影・郡司 修)

 第9回船橋開催(25~29日)での引退を発表済みの森泰斗(43=船橋)が29日正午過ぎ、現役最後の騎乗を前に船橋競馬場で記者会見を行った。引退の理由やファンへの思い、今後の予定を語った。

 以下、会見での主な一問一答。

――最終騎乗を迎える現在の心境は

 「正直、昨日までずっとバタバタ忙しくて…。今までと変わらない。引退する実感はない。来週からも乗るんじゃないかという、今までと変わらない気持ち」

――騎手生活を振り返っての感想を

 「いいこともたくさんあったはずなんですけど、性格がネガティブなものですから、苦しかったことばかり覚えている。逆境も多かった。よく頑張ってきたなと思います」

――引退の理由は

 「心技体という言葉があるじゃないですか。心の部分と体の部分が自分の中で衰えた。騎乗回数も10年以上、日本一というくらいたくさん乗ってきたので、関節が消耗しているのを年々感じるようになった。具体的にはケガと手術の影響で、右足首が思ったように動かなくなり、自分の思うような騎乗ができないことが凄く増えてきた。2年くらい前から感じてきたこと。残念ながら、関節というか、すり減った軟骨は戻らない。下り坂にいる自分を自覚し始めた。それが大きな理由。心の部分では数年前、親交のあったジョッキーが落馬事故で歩けなくなるくらいの大ケガを負ってしまったり、今年2名のジョッキーの命が失われた。前の僕だったら思わなかったでしょうが、怖い仕事だなと思うようになった。心が弱ってきたと感じた」

――引退を決断するきっかけになるようなことはあったか

 「これがきっかけというのはない。日々を重ねるごとに気持ちが強くなって、それが(今回)コップからこぼれた」

――印象に残る馬やレースは

 「1頭の名前を挙げるのは嫌だという思いがある。乗った馬全てに感謝している」

――今後の活動予定は

 「今のところ全く白紙です。曲がりなりにも26年間、馬と競馬に対する知見は培ってきたので、何かしらの形で競馬には携わりたいなとは思っています。具体的にはまだ何もないです」

――今一番やりたいことは

 「太ってみたいですね。人生で一度も太ったことがないので。ジャンクフードだったり、夜中までゲームをして、だらしのない生活をしてみたい」
 
――ファンの方々への思いは

 「本当に長い間応援してくれる方の存在も知っている。地方競馬がここまで来られたのもファンのみなさんのおかげでしかない。僕はジョッキーではなくなるが、今後も地方競馬が前のように衰退しないように応援していただきたい」

 ◇森 泰斗(もり・たいと)1981年(昭56)1月11日生まれ、千葉県出身の43歳。船橋・千葉県騎手会所属。勝負服は胴緑青ダイヤモンド、袖青。98年4月18日、宇都宮競馬場でデビュー。同20日、宇都宮6Rで初勝利。05年3月、船橋競馬場へ移籍。10年、霧島賞(荒尾)で重賞初制覇。南関リーディング獲得8回(14、15、16、18、19、20、21、22年)。全国リーディング獲得5回(15、16、19、20、21年)。通算2万8325戦4444勝(28日現在)。重賞は71勝。中央210戦11勝。主な同期に大井からJRAに移籍した戸崎圭太がいる。

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