【日本ダービー】鈴木康弘氏 絶好位でリラックスして走れたことがクロワデュノールの勝因

2025年6月2日 05:28

<東京11R・日本ダービー>レースを制したクロワデュノール(中央)。左は2着・マスカレードボール、右は3着・ショウヘイ(撮影・村上 大輔)

 【鈴木康弘 達眼解説】ダービーを勝つには5つの条件が必要です。傑出した身体能力と狂いのない体調に加えて、高い完成度と操縦性。そして、人馬の信頼関係。クロワデュノールはこの5つの必須条件を完璧に満たしていました。鞍上の意のままに操縦できるクレバーさを示すように道中3、4番手でぴたりと折り合った。前半1000メートル60秒0の落ち着いた流れだけに絶好位といえるポジション。その位置でリラックスして走れたのが一番の勝因です。

 直線坂下で早くも先頭に立った。一瞬の切れ味よりもじわじわ長くいい脚を使える。そんな特徴を北村友騎手が熟知すればこそのロングスパート。皐月賞では勝ち気なレースをしてミュージアムマイルにかわされましたが、戦法を変えることはなかった。息の長い末脚に全幅の信頼を寄せていたのでしょう。人馬の信頼関係も勝因の一つです。

 直線半ばでは芯が1本入ったような力強い首差しを伸ばして、後続を突き放しました。疲れのたまりづらい柔軟な筋肉が生み出すトモのパワーを推進力に換えたのは絶妙な角度の飛節です。傑出した身体能力を東京の長い直線でいかんなく発揮しました。

 パドックで披露した体つきは皐月賞時と変わらなかった。若馬だけに少しは成長してほしかったが、既にかなり高いレベルで完成しているのです。わずか1カ月半の期間では変わりようがなかったのでしょう。今夏の休養期間中にもう1段、進化を遂げてダービー馬の称号にふさわしい蹄跡を残してほしいです。(NHK解説者)

特集

2025年6月2日のニュース