【桜花賞】プレセピオで“最後の桜” 笹田師「運命を感じる」

2026年4月10日 05:29

プレセピオで最後の桜花賞に挑む笹田和秀師(撮影・中辻 颯太)

 華やかな一戦にふさわしい血のドラマだ。「第86回桜花賞」に出走するプレセピオは特別な縁でつながっている。11年オークス馬の祖母エリンコートもかつて笹田和秀師(69)が管理。思い出深い血統で桜満開の晴れ舞台に立つ。

 15年の時を経て、ゆかりの血統でクラシックに臨む。来春に定年引退を迎える笹田師が“最後の桜花賞”にプレセピオを送り出す。

 「運命を感じるよね」

 09年に厩舎を開業してから2年後のオークスでエリンコートが勝利。調教師として初めてG1戴冠を果たした。「エリンコートの孫で桜花賞に出られるなんて幸せ」と目を細めた。

 11年、雨の府中で7番人気の伏兵が激走。WIN5の配当から当時、新聞に躍った見出しは「1億4685万円の女神降臨」。2度の斜行で「降着になるかと思っていた。勝てるとは思っていなかったが、頑張ってくれた」と振り返る。

 エリンコートが10歳で産み、現役時代は笹田厩舎に在籍していた母パネットーネが血をつなぎ、プレセピオと出合った。シルエットは似ていると感じつつも祖母のように“エリート街道”を歩めるかどうかは未知数だった。きっかけはデビュー4戦目、京都芝1600メートル内回りの未勝利戦。「あのラップ(やや重で1000メートル通過58秒6)で逃げ切るなんてこの馬、強いなと思ったよ」。期待通りクラス2戦目のつわぶき賞を制し、賞金加算に成功した。前走フィリーズレビューは0秒4差5着と重賞でも崩れず。経験を積み、成長の跡は成績に表れている。

 名馬を育てた経験が原点にある。助手時代は義父である伊藤雄二師の下で93年ダービーを制したウイニングチケットをはじめ、多くの活躍馬に携わった。伊藤雄厩舎は87年マックスビューティ、89年シャダイカグラで桜花賞V。単枠指定になるほどの存在で“勝って当然”という大きなプレッシャーにも勝ち、腕を磨いた。「調教師と助手は違う感覚。調教師は親、助手は友達やね」と例え、役割を説明。「今はプレッシャーは感じない」と泰然自若の構えでレースを迎える。

 笹田師が語る競馬の魅力は人、馬それぞれにドラマがある点。「夢と希望を提供したいと思っている。ファンはもちろん、預けてくださっている馬主さんに対してもね」。吉田照哉氏がエリンコートを所有し、妻・千津氏がプレセピオのオーナーでもある。「恩返しをしたい」。深く結ばれた絆を胸に大舞台に向かっていく。

 ◇笹田 和秀(ささだ・かずひで)1956年(昭31)9月29日生まれ、広島県出身の69歳。80年3月に栗東・島崎宏厩舎のスタッフになり、83年12月に伊藤雄二厩舎へ。攻め専(調教騎乗がメイン)の助手としてウイニングチケットやエアグルーヴ、ファインモーション、エアメサイアなどG1馬に携わる。師の定年引退による厩舎解散に伴い、07年3月に梅田智之厩舎へ。08年、調教師試験に合格し、09年3月に開業。JRA通算3585戦291勝、うち重賞はエリンコート、ダンスディレクター、エアスピネルなどで9勝(9日現在)。

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