エリモハリアー、お疲れさま函館のアイドル 最後のお披露目へ
2018年7月17日 05:30 誰からも愛された「函館の名優」エリモハリアーが思い出の函館競馬場を離れる。05〜07年、史上初の函館記念3連覇。夏の函館に来ると、水を得た魚のように躍動した。63戦目の10年函館記念(13着)で引退後は、翌11年から函館競馬場の誘導馬として、地元ファンに親しまれてきた。
現在世話をするJRA函館競馬場業務課主査の本巣正樹氏(59)は「性格がきつかったので、当時担当された方の話では初期の馴致(じゅんち)は苦労されたようです。競走馬と乗馬では環境も違います。その変化に慣らすのは大変でした」としみじみ振り返る。時間をかけて乗馬としての育成。一般乗馬経験者、さらに地元函館のスポーツ少年団の子供たちも安心して乗れるようになったという。誘導馬1年目の11年は「パドックから芝に入る時に現役時代を思い出して興奮したことも。並脚(速くも遅くもない普通の歩き方)をせず、突然はねたりもしました」(本巣氏)。そんなハリアーも誘導馬としてすくすく成長。2年目の12年は誘導馬の最後方、13年には一番前の先導位置に昇格。14年には、新たに誘導馬に転身する後輩たちの“教育係”にもなった。
脚部への負担を考慮し、昨年17年で誘導馬を引退。今夏は函館競馬場のPR隊長として撮影会が開催日に行われ、家族連れやオールドファンでにぎわった。撮影会に参加した函館市の高橋徳行さんは「函館と言えば、エリモハリアー。一生の思い出です。函館を離れた後も末永く元気でいてほしいです」とエールを送った。14、15の両日には函館記念3連覇時の優勝レイの展示が行われた。今もハリアー宛てにお守り持参のファンもいるほどの人気者。土曜21日(最終日22日は実施なし)の「エリモハリアー号撮影会」が函館での最後のお披露目となる。本巣氏は「初心者の方でも接することができるぐらい、今では本当におとなしい馬です。私にとっても忘れられない一頭です」と感慨深げに話した。
来週中にも住み慣れた函館を離れ、今後は北海道白老町の「ホースガーデンしらおい」で余生を送る予定になっている。
◆エリモハリアー 父ジェネラス 母エリモハスラー(母の父ブレイヴェストローマン)サンデーサイレンス)セン18歳 現役時は栗東・田所秀孝厩舎所属 馬主・山本敏晴氏 生産者・北海道えりも町えりも農場 戦績63戦9勝 総獲得賞金3億5043万1000円。
【エリモハリアーの足跡】
☆05年7月函館記念1着 北村浩平(現在は須貝厩舎で調教助手)を背に好位4番手から鋭く伸びて重賞初制覇。
▼北村浩「巴賞が道悪勝ちでフロック視されていたが良でもの気持ちはあった。先生(田所秀師)の馬で勝てたことが一番うれしい」
☆06年7月函館記念1着 4コーナーで進路がふさがれながら、1番人気で連覇。
▼安藤勝「スムーズなレースじゃなかったけど馬の能力が高かった」
☆07年7月函館記念1着 巴賞11着で7番人気と評価は低かったが、レース史上初の3連覇。
▼武幸「巴賞は3コーナーでバテて全然駄目だったのにまるで雰囲気が違いました。強いのひと言です」
☆10年8月 現役引退。函館競馬場で乗馬に。
▼田所秀師「思い入れの強い馬でしたし、函館で他の馬の誘導馬としてエリモハリアーが一番に入ってきてくれたらうれしいです」
※当時談話を再録
【エリモハリアーの主な一日】
午前7時 朝ご飯。いつも完食です。
9時 乗馬センターの人たちが寝わらの整理などをしてくれます。
10時 乗馬の普及活動。地元函館の子供たち、一般の方々に乗ってもらったよ。(開催日は乗馬センターから早めに函館競馬場に移動していました)
11時30分 お仕事を終えると、体を洗って手入れしてもらいます。
12時 厩舎に戻り、ゆっくりと静養。
15時頃 楽しい夕ご飯の時間。ニンジンが大好きです。