馬事公苑が変わる!東京五輪馬術会場改修で競馬界にも“恩恵”

2018年7月24日 05:30

東京五輪での馬事公苑イメージ図(Tokyo 2020提供)

 馬術の聖地は改修工事の真っ最中。西尾参与は「生まれ変わる馬事公苑は今まで以上に馬術の中心地として盛り上がる。馬術の技術向上が競馬に生かされ、馬の価値観が変わる可能性がある」と、五輪レガシー(遺産)としての役割の重要性に期待する。

 東京ドーム4個分(18ヘクタール)を超える敷地に広がる馬事公苑。64年東京五輪では馬場馬術の会場としてにぎわい、総合馬術は軽井沢、障害馬術は国立競技場と3会場に分かれて行われた。20年東京五輪は、総合のクロスカントリーのみ海の森クロスカントリーコース(東京都江東区)で実施されるが、それ以外の競技は全て馬事公苑で行われる。1940年開苑で施設の老朽化が進んでいるため、馬房の広さや馬場素材も現在の国際基準に合致しない。今回は総工費約294億円を計上し、ほぼ全面的な改修に踏み切る。

 7月現在、第1期工事の進捗(しんちょく)率は20%。馬房は従来の305から最終的に400に増設され、広さは10・6から12平方メートルに。馬場は欧州産の砂とフェルトなど繊維素材を混合した国際基準を満たす仕様で、保水力があり、グリップ性能に優れる。観覧席は五輪開催に必要な1万席程度を大会組織委員会が仮設で設置。五輪後は仮設部分を撤去、公園部分などを整備する第2期工事を実施し、平常運営は22年秋になる見込み。世界レベルの馬術大会の開催が可能になり、馬術の世界マップに日本が加わる。

 今月10日には国際オリンピック委員会(IOC)調整委員会のジョン・コーツ委員長、大会組織委員会の森喜朗会長らが改修工事中の馬事公苑を視察。コーツ委員長は「非常に素晴らしい施設。馬事公苑で前回の東京大会と同じ競技が行われ、うれしく思う」と満足そうに話した。

 馬術の中心地がリニューアルする効果は競馬界にも返ってくる。「馬をコントロールする技術は競馬にとっても重要。調教師には馬術を経験した方も多くいますから。馬術と競馬はつながっている」と西尾参与。日本は「馬=競馬」のイメージが強いが、馬術の本場欧州は馬が身近な存在として日常生活に根付き、女性の活躍も盛んだ。東京五輪は未来のホースマンが馬術や馬文化に触れる絶好の機会。西尾参与は「五輪で日本人選手が活躍する姿を見た子供たちが馬術にチャレンジしたいと思ってくれれば、将来、競馬を支える人材が増えることにもつながる」と締めくくった。

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