【ホープフルS】サートゥルV!来春クラシックロード“こじ開けた”

2018年12月29日 05:30

<ホープフルS>馬の間を割りながらゴールを目指すサートゥルナーリア(左から2頭目)(撮影・郡司 修)

 残り200メートル。サートゥルナーリアの前には先に抜け出した3頭。真横にも外から追い上げた2頭。完全に進路を失った。大丈夫か…。3万観衆が息をのんだのは一瞬だった。先行するアドマイヤジャスタとブレイキングドーンの間に、わずかに生まれた隙間。M・デムーロは馬をねじ込んだ。「スペースがなかったけど馬が自分から狭い所に入っていった」。そこから先はノーステッキ。追いすがるライバルとの手応えの差は歴然。ミルコはゴール板を待たずに勝利を確信。左の拳を小さく握った。

 抜群のスタートで先頭に躍り出たが、1角の入りでコスモカレンドゥラに譲り、好位3番手に収まった。「初の中山で初の2000メートル。坂もあるトリッキーなコースだからハナには立ちたくなかった」。直線の冷や汗だけが誤算だったが、あとは完璧な立ち回り。「折り合いもついたし距離も全く問題なし。凄い強い」と相棒を称えた。今秋はG1を勝てない時期も続いたが、12月だけで3勝と怒とうの巻き返し。「最後を締めくくれてよかった。素晴らしい一年になった。最高」と満面の笑みで振り返った。

 兄エピファネイア、リオンディーズに続いての3兄弟G1制覇。上村洋行技術調教師(45)は「終始、余裕のレースぶりだった。気性が荒かった兄2頭と比べて扱いやすい。今のところ文句のつけようがない」と絶賛。今年の競馬界を席巻したアーモンドアイと同じロードカナロア産駒。「同じように3冠を獲れる馬になってほしい」と来春のクラシックを見据える。

 ミルコは4戦無敗で朝日杯FSを制したアドマイヤマーズの主戦も務める。「どっちも強い。この先、レースがかぶらなければいいのに…」と本音も漏れた。いずれ交差する無敗街道の行く末は?そして鞍上の選択は?話題満載の牡牝2頭のロードカナロア産駒が、来年の中央競馬をリードする。

 ◆サートゥルナーリア 父ロードカナロア 母シーザリオ(母の父スペシャルウィーク)牡2歳 栗東・中竹厩舎所属 馬主・キャロットファーム 生産者・北海道安平町ノーザンファーム 戦績3戦3勝 総獲得賞金9414万1000円。

特集

2018年12月29日のニュース