【シンザン記念】パッシング、アーモンドアイに憧れ淀を駆ける

2019年1月4日 05:30

調教に向かうパッシングスルー(撮影・郡司 修)

 正月飾りにも用いられる赤い実を付けた街路樹ナナカマドの脇を鹿毛がゆったりと歩いている。ライバルを華麗にかわすシーンをイメージして英語で「抜き去る」(パッシングスルー)と命名された、その3歳牝馬に頼もしげな視線を向けながら黒岩師が口火を切った。「追い切りを重ねても落ち着いています。凄くいい雰囲気。牡馬勢に挑める態勢です」

 昨年、シンザン記念をステップに牝馬3冠、ジャパンCも制したアーモンドアイの蹄跡を追いかけるように関東から唯一挑戦する牝馬。「アーモンドアイと比べるのは、かわいそうですが前走の末脚は素晴らしかった。着差(首差)こそわずかですが、新馬であんな走りができる馬はめったにいません」。馬名の通り大外から華麗にかわした。まるで飛行機雲のように真一文字に蹄跡を描き、メンバー最速となる上がり3F33秒5。アーモンドアイの初勝利時と舞台も同じなら、上がりタイムまで同一だった。この新馬戦の2〜4着が後にそろって勝ち上がっており、レースのレベルも高い。

 「広いコースであの末脚を生かしたい。京都の外回りは合っています。デビュー前から心肺機能が高かったし、オンとオフの切り替えが上手です」。そう語る黒岩師は開業8年目を迎える38歳の気鋭。大卒後、藤沢和師のミホ分場(美浦トレセン近郊)に2年間勤務しながら帝王学を叩き込まれた。

 「体は成長途上ですが、楽しみな挑戦。広いコースであの末脚が通用するか、力試しです」。こう締めくくると再びナナカマドの脇を歩く鹿毛に視線を向けた。秋に色づく赤い実が真冬になっても落ちないことから寿の木「山南天」と呼ばれるナナカマドのように成熟するのは秋。才能の芽を牝馬クラシックへ伸ばすか。

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