【米ベルモントS】マスター万全、鬼脚で歴史の壁破る!
2019年6月4日 05:30 米ケンタッキーダービーで日本調教馬最高となる6着に食い込んだマスターフェンサー(牡3=角田)が、8日(日本時間9日早朝)の米3冠最終戦、G1ベルモントS(ベルモントパーク競馬場ダート2400メートル)に出走する。ケンタッキーダービーでは最後の直線で鋭い決め手を披露した。2冠目のプリークネスSをパスして、ここに照準。データの後押しもある。日本馬の快挙はなるか。
5月4日に行われたケンタッキーダービー。最後の直線で日本のファンの目をくぎ付けにしたのは、25分の審議を展開した前の2頭ではなく最内からグイグイと伸びてきたマスターフェンサーの決め手だった。6着は日本調教馬としては16年ラニの9着を上回る同レース最高着順。角田師が振り返った。「日本でも米国でも(常に)上がりは最速だからね。最後に非常にいい脚を使ってくれた」
初の海外遠征。狭いスペースに押し込まれ、ひたすら長い飛行機での輸送。孤独と闘いながら受ける検疫。当然ながら当初は環境の変化に戸惑った。「精神的にたくましくなった。動じなくなった。能力があっても、それを出せないまま終わる馬もいるから」。気持ちの強さで乗り越え、レースに臨んだ。出遅れて最後方からの追走となったが指揮官は想定内だった。「日本で置かれる形になっていたし、テンにはついて行けないと思っていた。(米国は)ペースがとにかく速い。その分、日本の先行馬は逆に厳しいのかもしれない」。米国競馬向きの脚質であるとにらんでいた。
2冠目のプリークネスSをパス。最終戦のベルモントSに照準を合わせた。「中1週、中2週のローテーションだと厳しいからね」。これは近年の米3冠ロードでは“常識”。過去10年、ベルモントSを勝った馬は3冠馬を除けば、プリークネスSには出走していない。今年はケンタッキーダービー馬(カントリーハウス)とプリークネスS勝ち馬(ウォーオブウィル)が異なっており、データ通りならプリークネスS不出走馬が勝つ年。また、ケンタッキーダービー6着馬は過去10年で7頭が出走して2勝、2着2回と半数以上が連絡みしている。
「前回とはあらゆる面で状況が違う。相手関係は分からないが頭数は減る。2400メートルの距離はこなせると思う。勝つ馬はいるわけだからね。まずは無事に出走させたい。出ないことには勝てないから」(同師)。凱旋門賞以上に高い壁と思われてきた米国のダート競馬。それを突き崩す寸前まで来ている。マスターフェンサーの怒濤(どとう)の追い込みに期待せずにはいられない。
▽ケンタッキーダービーVTR 降雨で不良馬場。マキシマムセキュリティがハナ。だが、4角で膨らんで後続3頭の進路を妨害。約25分間の審議の末、17着に降着。2位入線の14番人気カントリーハウスが繰り上がりVとなった。1位入線馬の降着は同レース史上初めて。日本で発売した3連単は1629万8210円。マスターフェンサーは6着。ルパルーは「過去のレースでスタートが遅いのは把握していた。最後は非常にいい脚を使ってくれた」と語った。
▽ベルモントパーク競馬場 米ニューヨーク州、ジョン・F・ケネディ空港のそばにある米最大級の競馬場。1905年開場。ダートコースは1周2400メートルと北米最長規模。73年ベルモントSでセクレタリアトが2着に31馬身差をつけて圧勝したレースは今も語り草となっている。