信念貫き大成 リーディング3連覇ルメールに続け

2020年1月3日 05:30

クリストフ・ルメール騎手

 【競馬人生劇場・平松さとし】2019年のリーディングジョッキーはクリストフ・ルメール騎手。新記録を樹立した前年の215勝には及ばなかったものの164勝。終わってみれば独走で3年連続でのリーディングジョッキーを獲得した。

 G1もサートゥルナーリアでの皐月賞やフィエールマンでの天皇賞・春など5勝。また、天皇賞・秋を制したアーモンドアイとのコンビでは海の向こうでもドバイターフ(G1)を勝ってみせた。

 このように、すっかりG1の舞台でなくてはならない存在になったルメール騎手だが、初来日を果たした02年、彼は自国フランスでも、まだG1を勝てていなかった。

 初G1勝ちは初来日の翌03年、未勝利勝ちからコンビを組んだヴェスポーヌという馬でG3を勝った後、その勢いに乗りG1(ジャンプラ賞)も優勝した。「ヴェスポーヌはアフタヌーンホースでした」と述懐する。アフタヌーンホースとは朝の調教では動かないが、競馬にいくと走る馬のこと。2着に3馬身差をつけて楽勝したレースについては次のように語った。「ゴール前はまるでライオンが獲物を捕獲するような感じで伸びてくれました。ゴールの瞬間、“やった!!G1ジョッキーになれた!!”と思うと、表彰式が終わるまで興奮し続けました」。今では、いつでも沈着冷静なイメージのある彼だが、やはり初G1制覇は相当うれしかったことが分かる。

 「最初、騎手になりたい気持ちを父に告げると、“性格的に向いていない”と反対されました。でも、自分を信じ続けて騎手になったことでG1を勝てました」。信念を曲げずにやり続けることの大切さを改めて感じ、自然と涙があふれたそうだ。

 今はまだ勝ち鞍に恵まれない騎手はたくさんいるだろう。しかし、リーディングジョッキーにだって、そういう日があったのだ。大切なのは自分の可能性を信じ続けること。今年もまた競馬界に新たなヒーローたちが誕生することを期待したい。 (フリーライター)

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