【フェアリーS】満面スマイルV 桜名乗り!柴田大は1年1カ月ぶりJRA重賞制覇

2020年1月14日 05:30

フェアリーSを制した柴田大知騎乗のスマイルカナ(撮影・西川祐介)

 世界的な逃げ馬を想起させる芦毛が桜花賞(4月12日、阪神)に名乗りを上げた。3歳牝馬最初の重賞「第36回フェアリーS」が13日、中山競馬場で行われ、3番人気のスマイルカナが鮮やかに逃げ切った。主戦・柴田大知騎手(42)は18年カペラS以来1年1カ月ぶりのJRA重賞制覇。送り出した高橋祥泰調教師(67)は03年根岸S(サウスヴィグラス)以来16年11カ月ぶり、現役調教師では2番目に勝利間隔の長い重賞Vとなった。

 柴田大が満面に笑みを浮かべながら脱鞍所に引き揚げてくる。「凄い馬です。(直線で)もう一つのギアがありました」。出迎えた高橋祥師も「1番枠は神のお告げかと思っていたんだよ」と笑顔の花を咲かせた。笑う門には福来ると言うが、3歳牝馬の門出に幸福の花を咲かせたのは関係者の笑顔に包まれたスマイルカナだった。

 最内枠からダッシュ良く飛び出して単騎逃げ。直線では“もう一つのギア”を繰り出して後続を突き放した。前半と直線、2段噴射の逃げで2馬身半の楽勝V。「落ち着いていた前走(ひいらぎ賞1着)と違って今回は少しイレ込んでいたんです。(発走直前は)自分の中で不安が大きくなりましたが、ゲートが開くと自分のリズムで走っていた。気持ちが前向きだし、凄い身体能力です」。節目のJRA1万回騎乗にあと4と迫った柴田大も驚きの声を上げる強力な逃げ脚。その傍らで高橋祥師が言葉を継ぐ。「テンのペース(前半1000メートル59秒0)が速かったからどうかなと思ったが、引き離すのだから凄い。イレ込んだと言っても目は落ち着いていたし、体重も増えていた(前走比4キロ増)」と語り、こう続けた。「ディープインパクト産駒らしいバネが最大の武器だね」

 バネ仕掛けの芦毛の逃げ馬。その姿は同じディープインパクト産駒の叔父エイシンヒカリを思い起こさせる。イスパーン賞(仏国)、香港CのG1・2勝を飾った叔父と血量の75%が同一。サラブレッドは血で走るというが、世界の逃げ馬の血を3歳牝馬の門出に開花させた。

 「同じ逃げ切りといっても、前走よりさらに勝ちっぷりが良くなった。今後についてはオーナーと話して決めたいが、春が楽しみになったね(笑い)」。22年2月で70歳定年を迎える高橋祥師にとっては調教師生活の最終盤に出合ったクラシック候補。笑う門には福来る。スマイルカナがその2段噴射の逃げでクラシックの門出、桜花賞にも福を運んでくる。

 ◆スマイルカナ 父ディープインパクト 母エーシンクールディ(母の父ディストーテッドユーモア)牝3歳 美浦・高橋祥厩舎所属 馬主・岡田繁幸氏 生産者・北海道新ひだか町の木田牧場 戦績4戦3勝 総獲得賞金5281万2000円。

 ▽調教師のJRA重賞勝利間隔 小西一男師の20年1カ月(98年1月ガーネットS=スーパーナカヤマ→18年2月クイーンC=テトラドラクマ)が最長。高橋祥師は2番目に長い間隔(16年11カ月)で通算10勝目を挙げた。

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