【フローラS】横山武&マリリン重賞初V!関東リーディング“トップ”浮上でオークスへ弾み

2020年4月27日 05:30

<フローラS>レースを制したウインマリリン(右)。2着のホウオウピースフル(中)、3着のフアナ(撮影・郡司 修)

 新星コンビが樫へと羽ばたく。オークストライアル「第55回フローラS」が26日、東京競馬場で行われ4番人気ウインマリリンが重賞初V。名手・横山典弘(52)の三男で、17年デビューの横山武史(21)もうれしい重賞初制覇となった。2着ホウオウピースフルと共にオークス(5月24日、東京)の優先出走権を獲得した。京都のG2マイラーズCは昨年の最優秀短距離馬インディチャンプが貫禄の走りで重賞4勝目を挙げた。

 「ヨッシャー!!」。歓喜の雄叫びが静寂の脱鞍エリアに響き渡る。重賞初制覇。横山武はウインマリリンの馬上で両手を高々と突き上げ、喜びを爆発させた。「レースに勝つのはいつもうれしいですが、重賞で特別感があり、より一層うれしいです」。デビュー4年目、表情にあどけなさを残す21歳の若武者は顔を紅潮させながらも冷静に振り返った。「逃げ馬の後ろが理想の位置だったが(父の)横山典弘騎手に取られてしまった。その後ろになってしまったが、いい手応えでハミを取ってくれた」。直線半ばで内の狭いスペースを割って抜け出した際、ステッキが右手を離れ後方に飛んでいくハプニングも。横山武は「回そうとして落としてしまった。これで負けていたら…勝てて良かったです」と頭をかいた。

 この日はまさに“武史デー”。10Rを13番人気カタナで逃げ切ると、フローラSを挟んで迎えた最終12Rも12番人気ブランクエンドで制して3連勝。今年の勝利数を25とし、関東リーディングの実質トップに躍り出た(1位は短期免許のマーフィー=27勝)。競馬学校時代から慣れ親しんだ腕力主体のアメリカンスタイルから、膝を支点にしたヨーロピアンスタイルに騎乗フォームを改造。父も兄・和生も騎手という競馬一家に育った三男坊は、既成概念を捨て、試行錯誤しながら己の道を切り開いた。

 手塚師は「ムチは落としたけど速いペースでよく残ったよ」と好騎乗を称えた。手塚厩舎はマルターズディオサ、インターミッションに続いてオークス3頭出しが“確定”。「2頭と遜色ないポテンシャルを感じていたので、まぐれではなく、ちゃんとした結果だと思う。速い時計にも対応できたので本番が楽しみになった」と高笑いだ。

 オークス騎乗がかなえば、横山武にとって2度目のG1挑戦。騎乗停止となった父に代わり、リオンリオンで参戦した昨年のダービー以来となる。「ダービー(15着)は内容が良かったとは言えないし、あくまで父の代打だった。今回は自分の力で権利をもぎ取れたのが何よりうれしい。より一層、気を引き締めて頑張りたい」。屈託のない笑顔を一変させ勝負師の鋭い眼光をのぞかせながら決意を新たにした。人馬共に進化を続けるフレッシュコンビ。1カ月後の樫の大舞台で、さらなる大仕事をやってのけることも決して夢ではない。

 ≪ファミリー5人目制覇≫横山武は昭和の名騎手だった祖父・富雄氏から3代続く騎手一家。兄の和生、伯父で元騎手の賀一氏(現競馬学校教官)も重賞を勝っており、ファミリーで5人目のJRA重賞制覇となった。次に目指すのは武、福永が達成しているクラシック父子制覇。オークスは祖父・富雄氏が78年ファイブホープ、父・典弘が10年サンテミリオンで制しており、武史には同一G1・3代制覇が懸かる。

 ◆横山 武史(よこやま・たけし)1998年(平10)12月22日生まれ、茨城県出身の21歳。幼少期より騎手を目指し17年3月に美浦・鈴木伸厩舎所属でデビュー。同年4月16日の福島9RヒルノサルバドールでJRA初勝利。JRA通算1971戦127勝。1メートル61、45キロ。血液型O。目標の騎手は父・横山典弘。

 ◇ウインマリリン 父スクリーンヒーロー 母コスモチェーロ(母の父フサイチペガサス)牝3歳 美浦・手塚厩舎所属 馬主・ウイン 生産者・北海道新冠町コスモヴューファーム 戦績4戦3勝 総獲得賞金7162万9000円。

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