【桜花賞】前残り“高速決着”注意報!新コンビ福永がライラックの器用さ生かす

2022年4月6日 05:30

ライラック

 今春から始まった新企画連載「G1展開王」。予想のファクターとして重要な展開を多角的に分析する。今週は牝馬クラシック第1弾「第82回桜花賞」。京都競馬場の大改修に伴い、今春もBコース替わり1週目で実施。4コーナー3番手から押し切った昨年ソダシの教訓に基づけば、注目は好位を狙える馬。そこで関東馬ライラックをピックアップ。前走・フェアリーSでは後方一気を決めたが、1週前追いに騎乗した新コンビの福永祐一(45)が「極端な競馬はしなくていい」とコメント。4コーナー3番手から突き抜けた昨年東京新馬戦の再現はないか?

 大阪杯は8番人気ポタジェが仰天V。展開に注目すれば「前が強かったなあ」の思いは強い。逃げたジャックドールこそ5F58秒8で飛ばして失速したが、ポタジェは最終4コーナー4番手。2着レイパパレは同3番手。いずれも好位で粘った。雨上がりの湿った良馬場。Aコース使用8週目で「1分58秒4」は速い。

 桜花賞から芝はBコースに変更。直線部は内3メートル、曲線部は同4メートルに仮柵を設置。先週までに傷んだ内寄りの芝が柵でカバーされたとあれば、引き続き「前(内)有利」の傾向になるのでは?実は桜花賞がBコース1週目で行われるのは阪神競馬場のコースが改装された07年以降、昨年と今年の2回だけ。京都競馬場の改築工事に伴う日程変更により、芝コースの運用法も変更されている。その昨年は?好枠4番枠を生かしたソダシが4コーナー3番手から1分31秒1の桜花賞レコード。先週と打って変わって今週は好天続きで高温予報。先週も好時計が出たことを考えると、前に行った馬が止まらない“高速決着”の予感が漂う。

 そこで大逆転の発想でライラックを取り上げる。重賞初Vを飾った前走・フェアリーSは出遅れ→大外一気の大味な競馬。好位になんて無理でしょ!?は早合点。先週の1週前追いで美浦に駆けつけた福永は、こう証言している。「ゲート裏でテンションが上がると聞いているが、そういう面をケアすれば、マイルの流れでも戸惑わない走りができるはず。まだ3戦しかしていない馬なので戦法は決めつけず、持ち味を生かす競馬をしたい」

 18頭立てのフルゲートだった昨秋東京新馬戦(芝1800メートル)は最終4コーナー3番手の好位から楽勝。ゲートが決まれば、器用に立ち回れる機動力もある。

 人気のナミュールはチューリップ賞同様に中団!?2歳女王サークルオブライフはチューリップ賞(3着)で4番手を取った分、最後はジリジリ。国枝師は「前半は自分のリズムで走って、しまいを生かす競馬を」と阪神JF優勝時同様の待機策を示唆している。クイーンCを勝ったプレサージュリフトも差しタイプ。各ジョッキーの意識が“中団”に働けば働くほど、逃げ~好位勢の粘り込みは脅威となる。過去に逃げている抽選対象組のパーソナルハイ、カフジテトラゴンが当選すれば、先行激化の恐れも残っているので、この点だけは注意。

 馬場読み&他馬の動向読みに関しては、現役屈指の福永。「展開」を見誤るはずはない。今年と同じBコース1週目の設定だった昨年も初騎乗の関東馬ファインルージュ(8番人気)を3着へと導いた。ライラックもルージュ同様、フェアリーS1着から直行の参戦。桜花賞2勝の敏腕に善戦以上の期待が膨らむ。

 《桜花賞複勝率33%》ライラックと新コンビの福永は、桜花賞に21度騎乗して【2・0・5・14】、3着内率33%。4番人気で優勝した99年プリモディーネは福永自身にとってJRA・G1初制覇のメモリアル白星となった。05年は2番人気ラインクラフトで制し、2勝目を挙げている。

 ▽阪神芝1600メートルの特性 コース改装前の06年までの桜花賞はいわゆる「おむすび形」でスタート直後の2コーナーまでが短く、し烈な先行争いが繰り広げられたが、07年以降は広大な外回りコースを使用。以前より序盤は穏やかな流れになることが多くなった。ロスなく立ち回れる器用さより直線の爆発力が問われる。スタート地点は向正面の半ば。ゆったりとした3~4コーナーを回り、JRA右回りコースでは最長476.3メートル(Bコース使用時)の直線が待つ。ゴールの200メートル手前から約1.8メートル(勾配1.5%)の急坂があり、瞬発力だけでなく、最後まで踏ん張る持続力が問われ、馬の底力が素直に反映する紛れが少ないコースだ。

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