【日本ダービー】武豊 史上初の50代V&6勝へ ドウデュースと伝説刻む「距離は大丈夫。左回りもいい」

2022年5月23日 05:30

18日、武豊を背に引き揚げるドウデュース(撮影・亀井 直樹)

 競馬の祭典「第89回ダービー」(29日、東京)ウイークが始まった。まずはドウデュース(牡=友道)とともに前人未到の6勝目を目指す武豊(53)が登場。誰も達成したことのない50代でのダービー制覇へ。ベテランらしく冷静な中に、熱い気持ちを忍ばせて頂点を目指す。

 ――ダービーウイークを迎えた心境を。
 「キズナで勝ってから9年もたつのか…と年月の流れを感じます。あとはダービーの騎乗馬が有力馬であれば取材が多く“あの時もこんな感じだったな”と思い出しています」

 ――“あの時”とは、どの年を指すのか?
 「勝った馬(98年スペシャルウィーク、99年アドマイヤベガ、02年タニノギムレット、05年ディープインパクト、13年キズナ)は人気になっていたから全て。近年は伏兵の騎乗馬が多かったので今年は熱量の違いを取材を通して肌で味わっています」

 ――スペシャルウィークとドウデュースには共通のキーワードがある。
 「皐月賞が1番人気で3着だったことですよね。ダービーの結果まで同じであることを願っていますよ。あの時はダービー初勝利でした。せっかくスペシャルウィークを引き合いに出すなら他にも似た部分がある。物事に動じない点。ひょうひょうとした性格も同じ。異なるのはフットワークです」

 ――具体的には。
 「一般論では大きなフットワークで走る馬が距離が延びていいとされる。スペシャルウィークは器用さがなかったので広い府中なら伸び伸び走るだろうな、と思っていたら案の定、その通りだった。ドウデュースはストライドを伸ばすタイプではなくピッチ走法。回転がメチャ速い」

 ――ということは距離延長に不安があるのか。
 「いや、僕が先入観を持ちすぎていたかもしれない。フットワークがこうだから、血統がこうだから…と適性を決めつけがちだけど、競走馬は当てはまるようで当てはまらないことも多い。距離は大丈夫。皐月賞は負けて悔しかったけど、ダービーの距離に対する不安はなくなりました。左回りもいいと思う。元々、右手前(※注)で走るのが好きな馬で皐月賞は手前(軸脚)が替わらなかった。右手前で走る府中の直線はプラス」

 ――一貫してこだわり続けるのがダービーと凱旋門賞。
 「そこはぶれない。騎手になる前からダービー制覇が夢。そして何度も勝ちたいと思うレース。凱旋門賞はジョッキーになってから新たな夢になった」

 ――50代で勝ちたいとも言っていた。
 「そう。ダービーを20代、30代、40代と勝ってきた。ぜひ50代でも勝ちたい。世界中で達成しているジョッキーがいるとしたら、レスター・ピゴットかな(※英ダービー9勝=初勝利が19歳で9勝目は48歳)」

 ――さあ、改めて意気込みを。
 「ドウデュースで挑める今年のチャンスは大事にしたい。ものにしたいです」

 ※注=手前 馬の走り方を指す言葉。右手前、左手前はどちらの前脚が最後に着地するかで区別される。乗り手から見て右前の脚が左前の脚よりも後に着地することを右手前という。左回りの東京コースの場合はコーナーを左手前で回って、直線で右手前に替えるのが一般的。

 《29日当日に53歳2カ月15日》武豊はダービー当日、53歳2カ月15日を迎え、勝てば86年増沢末夫の48歳7カ月6日を大きく上回る、JRA史上初の50代ダービー制覇騎手となる。なお、横山典弘(同54歳3カ月7日)にも同様の記録が懸かる。

 ◇武 豊(たけ・ゆたか)1969年(昭44)3月15日生まれ、京都府出身の53歳。87年騎手デビュー。69勝で当時の新人最多勝新記録。以降、数々の記録を打ち立て、競馬のイメージそのものを変えたレジェンド。2018年に前人未到のJRA通算4000勝。JRA通算2万3493戦4349勝、うち重賞348勝(G1・78勝)。1メートル70、51キロ。血液型O。

特集

2022年5月23日のニュース