【書く書くしかじか】若い世代にも響く武豊の偉大さ

2023年3月15日 10:10

2日、破格の時計で追い切りを終え、笑顔で引き揚げる武豊とドウデュース

 ▼日々トレセンや競馬場で取材を続ける記者がテーマを考え、自由に書く東西リレーコラム「書く書くしかじか」。今週は大阪本社の小林篤尚(45)が担当する。今月デビューのルーキー・河原田菜々(18)から改めて武豊の凄さを感じた。

 武豊がきょう15日、54歳のバースデーを迎える。87年の初騎乗からずっと一線級で走り続けている。そんなレジェンドの歩みは若い世代にも響く。今月デビューのルーキー・河原田菜々は武豊に憧れて、この世界へと飛び込んだ。

 「小学4年生の時に乗馬を始めて。祖母の家でテレビ中継を見て、人馬一体となっているのがかっこいいと思って。競馬と言ったら豊さんですからね。一般家庭で育った私から見ても奇麗に乗られていて、凄く上手だなと。そこから始まりました」

 競走馬で一度でいいから乗ってみたい馬は?そんな問いかけにも間髪入れずに「キタサンブラックです!」と返ってきた。武豊の手綱でG16勝を挙げたスターホース。活躍期は彼女がちょうど中学生になったころ。「大きくて力強い走りをしていて、人気に応える豊さんも凄いなと思いました。技術面はもちろんですけど、人柄というか私も周りの人に愛されるジョッキーになりたい。私も豊さんみたいになりたいです」と目を輝かせた。

 時は流れ、競馬学校を卒業。晴れて、同じステージでレースに臨む時がやってきた。デビュー初日の阪神、福永祐一技術調教師の騎手引退式の時に「(豊さんから)“競馬でケガをしないこと、させないことが大事”って声をかけていただきました」とその言葉を胸に深く刻んだ。

 ドバイターフに向かうドウデュースは2日、武豊が騎乗して追い切られた。CWコースでラスト1F10秒6と破格の時計。「凄かったね。馬ってこんなに速く走れるんだ」。そのコメントにベテラン記者も“名言じゃない?”と感激しきり。そんな言葉がファンをさらにときめかせる。

 コロナ禍が解け、本格的な競馬シーズンを迎える。クラシックは桜花賞がライトクオンタム、皐月賞はタッチウッドとのコンビ。ともに弟・幸四郎厩舎の管理馬でG1Vを狙う。その前にドバイでのドウデュースの走りも楽しみ。この春も話題十分の名手が老若男女を引き付ける。

 ◇小林 篤尚(こばやし・あつひさ)1977年(昭52)3月31日、大阪府枚方市生まれの45歳。01年入社。04年からボートレース担当、16年に中央競馬へ。武豊のお手馬でマイベストホースは97年宝塚記念Vのマーベラスサンデー。

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