【スプリングS】56歳の柴田善 JRA最年長重賞V更新へ意欲!「レースに乗るのが何より楽しい」

2023年3月17日 05:30

柴田善を背に馬場から引き揚げるシーウィザード

 中高年の星が、新記録へトライする。「第72回スプリングS」でシーウィザードと初コンビを組むのが柴田善臣(56)。現役最年長のベテランが、自身が持つJRA重賞最年長勝利記録(55歳10日=21年レパードSメイショウムラクモ)を塗り替えるか。レジェンドを直撃した。

 ――「ベテランジョッキーに教育してもらったおかげで随分良くなった」。シーウィザードについて鹿戸師はこう語っている。
 「僕は何もしてないですよ。体の利かない年寄りが乗るから馬の方が気を使って動いてくれるんだろうね(笑い)。追い切りでもイレ込まず冷静に走れていたし反応もしまいの伸びも良かった」

 ――パドックで走り出すなど幼さが目立っていた。
 「前走は馬場入りや返し馬でも落ち着きを欠いていた。(前走後に依頼を受けて)僕が調教に乗り出してからも最初はそういう面を見せた。背腰が少し弱いせいで手前(軸脚)をサッと替えられずに焦っちゃうんだ。だから焦らないように少し待って、ゆっくり動すようにした。手前を替えてバランスをしっかり取ったらグンと加速した」

 ――それがベテランジョッキーの教育だと思うが。
 「いや、馬も自分の弱点は分かっているはずだよ。背腰がパンとして、もっとスムーズに手前を替えられれば本物になる。体にはいい感じの緩さがあるからね」

 ――それにしても、岡部幸雄元騎手のJRA最年長勝利記録を塗り替える活躍。「善臣は騎乗フォームが全く崩れない。馬の背中に余計な負担をかけずに乗り続けられる」と岡部さんも絶賛している。
 「この年齢になっても、いい馬に乗せてもらっているから。感謝と申し訳なさでいっぱい。でも、10年前とは違うよ。若い頃は気持ちで体を動かせた。2段跳び、3段跳びで一気に行けたけど今は無理。1段上がるごとにフーッだから(笑い)。ケガの回復にも時間がかかったしね」

 ――その分、騎手としての引き出しが増えた?
 「俺の引き出しは油を差さないと開かないよ。加齢とともに脂分が少なくなって開かないうちにレースが終わっちゃう(笑い)」

 ――油を差すのが日々のトレーニング?
 「自主トレは欠かかず続けているが一般的なトレーニングでは不要なところに筋肉を付けたり体を痛めるだけ。それなりに勉強して馬に乗るために必要な筋肉をつけている」

 ――引退って考えない?
 「この年だから考えるよ。ただ、競馬が大好きだし、レースに乗るのが何より楽しい。自分の騎乗に納得できなきゃ、やめちゃうかもしれないが乗せてもらえる限りは楽しんで乗り続けたい。最年長重賞勝ちもチャンスがあれば狙いたいね」

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