“出遅れない調教”光る高野厩舎に注目

2023年3月17日 05:00

フィリーズレビューの口取り写真に納まる吉田隼(左端)、高野師(左から2人目)らとシングザットソング(撮影・亀井直樹)

 【競馬人生劇場・平松さとし】
 12日、阪神競馬場では桜花賞トライアルのフィリーズレビュー(G2)が行われた。ここを勝利したのはシングザットソング。デビュー当初は出遅れることもあったが絶好のスタートを決めての勝利。栗東・高野友和師(47)の管理馬だ。

 ショウナンパンドラ(14年秋華賞、15年ジャパンC)やレイパパレ(21年大阪杯)などでも知られる高野師は昨年も桜花賞(G1)に管理馬を送り込んでいた。チューリップ賞(G2)を制して本番へ駒を進めたナミュールだ。同馬は2歳時に新馬から連勝。3戦目の阪神ジュベナイルフィリーズ(G1)では1番人気に推された。しかし大きく出遅れた結果、4着に敗れた。

 「その前のレースでゲート内の駐立が悪かったのは分かっていました。ただ、当初、阪神JFは使わない予定だったのでレース後に放牧に出して、ゲート練習が足りなくなってしまいました」

 それでも最低限の練習はしたので中で暴れることはなくなった。ただ一点、見落としていたことがあったのが大一番での出遅れにつながったと語った。

 「後ろ扉にモタれてしまっていました」

 そのため、暴れこそしなくなったものの大きく出遅れてしまったのだ。

 「その後はモタれないように教え込みました」。練習でモタれそうなそぶりを見せるとストレスを与え、それによりモタれるのをやめると褒めてあげる。そうすることによって、ナミュールはモタれ癖を解消していったという。

 「出遅れは調教師の責任だと考えていますから」。そう語る高野師の尽力もあり、秋には秋華賞(G1)を2着。出遅れることなくスタートを決めて好走した。ちなみに、その時、勝ったのはスタニングローズ。これもまた高野師が管理する馬だった。

 さて、先週のフィリーズレビューを制したシングザットソングも冒頭で記したように出遅れを解消しての優勝。昨年同様、今年のクラシック戦線も高野厩舎から目が離せなくなりそうだ。(フリーライター)

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