【ラジオNIKKEI賞】3番人気エルトンバローズ3連勝で重賞初制覇

2023年7月3日 05:30

<ラジオNIKKEI賞>レースを制したエルトンバローズの西村はガッツポーズ。レーベンスティール(右)は3着(撮影・村上 大輔)

 東西重賞ともに単勝1倍台の圧倒的1番人気が敗れる波乱の決着となった。福島で行われたJRA3歳重賞唯一のハンデ戦「第72回ラジオNIKKEI賞」は、3番人気エルトンバローズが3連勝で重賞初制覇を決めた。

 真っ先にゴール板に飛び込んだエルトンバローズの馬上で、西村淳は観衆に向けて投げキッス。左腕を突き上げ、喜びを爆発させた。「この子とはコンビ3戦目。一戦ごとに成長してくれて、本当にうれしい。自分自身、重賞で2着が多かったので、悔しさをバネに結果が出て良かった」。先月18日のマーメイドS(ビッグリボン)に続く重賞騎乗機会2連勝ににんまりだ。

 思惑通りの先行策。「小回りなので、まずはスタートのことだけ考えていた」。好発を決め、3番手で1角に入った。6番枠を生かし、ロスなく内ラチ沿いで脚をためる。「道中はこれで負けたら仕方ない、と。いい位置を取れたし、手応えも抜群だった」と振り返る。4角で外に持ち出し、早め先頭シルトホルンを難なくかわす。圧倒的人気を背負ったレーベンスティールも迫ったが、完璧に立ち回った人馬には及ばなかった。

 この勝利で全国リーディング1位に躍り出た杉山晴師は「百点満点。福島が上手なジョッキーなので心配していなかった」と鞍上を絶賛。重賞初挑戦で一発回答のエルトンは中間、天皇賞馬ジャスティンパレスと併せ馬をするなど好調教を連発。「凄くいい状態で重賞に挑むことができた。パレスとはいいパートナーで、ともに成長してくれている」。G1勝ちの僚馬との相乗効果を強調した。

 今後について、指揮官は「夏は休ませるつもり。次走はオーナーと相談してからだが、マイルを連勝してきた臨戦過程から2000メートル以上は考えにくい。究極の目標はマイルG1になると思う」と展望する。コンビ3戦3勝の西村淳は「まだまだ成長するし、もっと上を目指せる」と勇み立つ。みちのくの名物3歳重賞の優勝馬が後にG1を勝ったのは92年Vシンコウラブリイが最後。マイル女王となった先駆者が示した道を、久々に歩む新星が登場した。

 ◇エルトンバローズ 父ディープブリランテ 母ショウナンカラット(母の父ブライアンズタイム)20年3月18日生まれ 牡3歳 栗東・杉山晴厩舎所属 馬主・猪熊広次氏 生産者・北海道浦河町の桑田牧場 戦績7戦3勝(重賞初勝利) 総獲得賞金6096万7000円 馬名の由来は人名+冠名。

 《記録アラカルト》
 ☆騎手&調教師 西村淳のJRA重賞勝利はマーメイドS(ビッグリボン)以来で今年3勝目、通算5勝目。杉山晴師は天皇賞・春(ジャスティンパレス)以来で今年3勝目、通算16勝目。
 ☆種牡馬 ディープブリランテ産駒は17年セダブリランテス以来、同レース2勝目。JRA重賞勝利は20年日経新春杯(モズベッロ)以来で通算4勝目。
 ☆関西馬 昨年のフェーングロッテンに続く勝利。通算成績は関西馬13勝、関東馬59勝。

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