【中京記念】9月いっぱいで定年の池田厩務員 ホウオウアマゾンと挑む“最後の夏”

2023年7月21日 05:30

ウオウアマゾンと池田厩務員(撮影・亀井直樹)

 ホウオウアマゾン(牡5=矢作)を担当する池田康宏厩務員(65)は9月いっぱいで定年。半世紀に及ぶ厩務員人生を振り返り、デビューからともに歩んできた相棒への思いを語った。

 20年夏のデビューから携わっている相棒とラストサマーに臨む。9月末に定年を迎える池田厩務員がホウオウアマゾンで中京記念に参戦。前走は初の海外(オーストラリア)遠征。慣れない環境で挑戦したG1オールエイジドSは中団から運ぶも7着。「オーストラリアには同行できなかったけど、かなり馬場が悪かったと聞いた。度外視していいと思う。帰国後は順調。日を追うごとに出来は上向いている」と遠征明けの不安はない。

 16歳で飛び込んだこの世界。49年の厩務員人生で中京には、たくさんの思い出が詰まっている。真っ先に頭に思い浮かぶのは、かつて所属した松永善晴厩舎で担当していたテンザンユタカだという。94年サファイヤS、愛知杯とG3を2勝した。「ともに逃げ切り勝ち。初めて平地の重賞を勝たせてもらったし、特にサファイヤSはオークス馬チョウカイキャロルを破ったことがうれしかった」と懐かしそうに振り返った。

 定年間際にパンサラッサで昨年のドバイターフ、今年のサウジCと海外G1制覇を成し遂げた。ホースマンとしてのキャリアは最終章を迎えたが、まだ目標がある。「いつか瑠星(坂井)と重賞を勝ちたいと思っていた。瑠星も一緒に勝ちたいと言ってくれているからね」。矢作厩舎所属の坂井を、競馬学校生の頃から我が子のように可愛がってきた。「中京記念は瑠星とのコンビで臨めるし、その思いをかみしめながらパドックを引きたい。そして最後に中京でもうひとつドラマをつくりたい」。馬づくり一筋に生きてきたベテランがきっちり仕上げ、鞍上にバトンを託す。

 ◇池田 康宏(いけだ・やすひろ)1958年(昭33)7月16日生まれ、兵庫県宝塚市出身の65歳。74年から栗東・松永善晴厩舎に所属。解散に伴い、05年開業の矢作厩舎へ。グロリアスノア(10年根岸S、武蔵野S勝ち)、タイセイドリーム(16&18年新潟ジャンプS勝ち)などに携わった。重賞はパンサラッサで制した22年ドバイターフ、23年サウジCのG1・2勝を含む11勝。現在はホウオウアマゾンとインヒズアイズ(3歳1勝クラス)を担当している。

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