新3歳ダート3冠路線での地方馬奮起に期待

2024年1月17日 14:40

 日々トレセンや競馬場など現場で取材を続ける記者がテーマを考え、自由に書く東西リレーコラム「書く書くしかじか」。今週は美浦取材班の万哲こと小田哲也(56)が担当する。全日本的なダート競走の体系整備に伴い今年からいよいよ始まる「3歳ダート3冠競走」。地方競馬大好きの万哲は何を思うのか?率直な願いをつづった。

 22年6月にJRAと地方競馬の共同会見で全日本的なダート競走の体系整備が発表され、核ともいうべき「3歳ダート3冠」の創設も同時に発表された。そして今年、新ダート競走体系がスタートする。当時、南関東クラシックの羽田盃、東京ダービーをJRAにも開放すると聞いた時は衝撃だった。個人的には、大井の鉄人・的場文男(67)の悲願である東京ダービー制覇の道は容易ではなくなったのでは?の思いも募った。JRA関係者は「ダート馬の新たな目標ができるのは素晴らしいこと」と賛同が多数。優勝賞金額だけを列挙しても、羽田盃が5000万円(昨年3500万円)、東京ダービーが1億円(同5000万円)、3冠最後のジャパンダートクラシックが7000万円(昨年までのジャパンダートダービーに相当=同6000万円)に増額され、さらに3冠全て勝つと8000万円のボーナスがある。総計3億円の夢も栄誉もある意義深いダート3冠だと思う。

 古馬や3歳短距離部門も含めた新ダート体系への期待は各所に及んでいて、昨夏のセレクトセールではダート血統の種牡馬の子も活発に高額で取引された。ダート種牡馬の総大将ともいうべきシニスターミニスターが在籍するアロースタッド(北海道新ひだか町)では昨年、テーオーケインズ、カフェファラオに加え、サウジカップを制した快速馬パンサラッサなど、砂適性が高い馬が次々とスタッドインした。馬産地では先行して、新ダート体系への期待が高まっている。

 ここからは僕の願望。できることなら、交流ダートグレード重賞はJRA馬だけでなく、地方馬も負けずに活躍できれば…と思う。3歳ダート3冠競走のJRA出走馬の枠が特に序盤で制限されているのは「地方在籍馬も頑張ってほしい」との熱いメッセージにも受け取れる。昨年暮れの東京大賞典当日の大井競馬場は大変な盛況だった。携帯のLINEはつながりにくく、パドックは鈴なり。ワゴンカーも多数出店していた場内の飲食店はどこも長蛇の列。東京大賞典1レースの売り上げ約82億円は地方競馬1レースの売り上げレコード。大井生え抜きの南関東3冠馬ミックファイアの参戦が大きかったのは言うまでもない。

 現3歳も地方馬にはタレント多数。無傷5連勝で昨年10月のハイセイコー記念を圧勝したダテノショウグン(牡=大井・森下淳)。同じく無傷5連勝で南部駒賞(盛岡)を制したフジユージーン(牡=岩手・瀬戸幸)は岩手から久々に出た逸材で大物感が漂っている。

 本日17日、船橋ではダート3冠前哨戦の「ブルーバードカップ」が行われる。昨年まで南関東の準重賞だったのが、ダートグレード重賞に格上げされた。JRA馬3頭の枠は埋まり、道営や佐賀からもはるばる参戦があって厳選9頭。馬券は外れてもいいから、熱いレースが見られればいいなあ…と思うのが率直な思い。美浦トレセンの宿舎でテレビにくぎ付けになります。 

 ◇小田 哲也(おだ・てつや)1967年(昭42)生まれ、埼玉県出身の56歳。スポニチに92年入社。校閲部、仙台支局、現レース部では競輪、ボートも過去に担当。競馬担当27年目。趣味は旅打ち。好きな地方競馬場は水沢、盛岡、浦和。グリーンチャンネル「中央競馬全レース中継」のパドック解説を担当中。

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