【大阪杯】タスティエーラ95点 ビロードのようなしっとり美肌 心身ともコンディションいい証拠

2024年3月26日 05:29

タスティエーラ

 ダービー馬のしっとり美肌に達眼先生もうっとり。鈴木康弘元調教師(79)がG1有力候補の馬体を診断する「達眼」。第68回大阪杯(31日、阪神)では昨年のダービー馬タスティエーラをトップ採点した。達眼が捉えたのはビロードのようにしっとりした肌。美容クリニックに通っても手に入らない美肌が映し出したのは…。

 肌は心を映す鏡といいます。化粧水やボディークリームで保湿しても、気分が落ち込めばくすんでしまう。特に、ストレスはお肌の大敵。コルチゾールというストレスホルモンが肌トラブルを引き起こすそうです。逆にリラックスしてストレスを解消できれば血液やリンパの循環が改善されて肌細胞が元気になる。競走馬の肌にも同じことが言えます。

 たとえば、柔らかくて繊細な筋肉を備えたタスティエーラ。その上質な筋肉を美しくラッピングしているのはビロードのようにしっとりした肌です。冬毛が残って肌ツヤが失われがちな季節にしては珍しい美肌。新陳代謝が活性化している証ですが、体と同時に心のコンディションもいいのでしょう。

 充実した精神状態は立ち姿からもうかがえます。頭だけでなく首もカメラマンに向けている。気持ちに余裕があるからです。人間だって余裕があれば横を向く時に頭だけでなく上半身ごと向きを変えるでしょう。馬も一緒です。顔つきは穏やか。それでいながら目、耳、鼻先を1点に集中している。ハミも強からず弱からず程よい受け方をしています。昨年の有馬記念では最後の直線で進路をふさがれる不利もあって6着に敗れましたが、その後の放牧でしっかりリフレッシュできたのでしょう。ハッピーな気分がお肌にも立ち姿にも表れています。

 有馬記念から3カ月の間に体も一段進化しました。肩先から胸前と上腕の筋肉がボリュームアップしています。筋肉の質に加えて量まで備わった。古馬らしい体つきになってきました。背中と腹下が長いステイヤー体形。腹周りにも、もう少しボリュームが出てくれば理想的ですが、それは今後のお楽しみにしておきましょう。肌は心を映す鏡。美容クリニックに通っても手に入らない美肌が映し出しているのは、勝利を呼ぶメンタルかもしれません。 (NHK解説者)

 ◇鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日生まれ、東京都出身の79歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70~72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許取得、東京競馬場で開業。94~2004年に日本調教師会会長。JRA通算795勝。重賞27勝。19年春、厩舎関係者5人目となる旭日章を受章。

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