【日本ダービー】ジャスティンミラノの武器“前で運べるセンスの良さ” 友道師ダービー4勝目へ
2024年5月21日 05:00 涙の皐月賞制覇から約1カ月半。ジャスティンミラノを管理する友道師にとって、あの勝利は落馬事故で先月10日に死去した藤岡康太さんにささげる勝利でもあった。2走前の共同通信杯1週前、そして皐月賞は2週前、1週前の追い切りに藤岡さんが騎乗。稽古をつけてもらった。友道師は「確か金鯱賞当日(3月10日)だったと思うけど検量室で康太が戸崎に(皐月賞に向けての)追い切りは僕がやっておきますよ、と言っていたんです。そして追い切り後は戸崎と密に連絡を取ってくれていました」と調整過程における舞台裏のエピソードを明かした。
レース自体は完璧な内容だった。前半5F通過が57秒5のハイラップで悠々と道中4、5番手を追走。4角手前で手応えはあやしくなったものの、左手前に替えるとグンと加速して首差の接戦をものにした。「最後の坂を上がったあたりで伸びかけて(2着の)コスモキュランダが後ろから詰めてきた時に思わず康太!と声が出た。あの勝利は康太のおかげだと思います」と“後押し”に感謝した。
16年マカヒキ、18年ワグネリアン、22年ドウデュースで現役最多の日本ダービー3勝トレーナー。先輩と比較すると?と聞くと「あの3頭は皐月賞を獲れなかったので」と即答するあたり、完成度の高さがうかがえる。ジャスティンミラノに関しては「前めで運べてセンスの良さがある」とセールスポイントを挙げた。
皐月賞馬で臨む日本ダービーは09年アンライバルド以来、15年ぶり2度目。前回は1番人気12着に敗れ、2冠制覇はならなかった。ほろ苦い経験もしながら年を重ね、今がある。8月に61歳になる友道師。ダービー出走のチャンスは今年を含め、あと10回となった。「僕はあと9年で定年を迎えるので厩舎にとって最後のダービーは節目の第100回。そこには必ず(管理馬を)出走させたい」と力を込める。一度勝てば次、何度でも勝ちたい。そして終われば、すぐに1年後を意識する。それが競馬の祭典ダービーだ。熱い思いを胸に今年も頂にアタックする。
◇友道 康夫(ともみち・やすお)1963年(昭38)8月11日生まれ、兵庫県赤穂市出身の60歳。大阪府立大獣医学部を卒業後、89年9月に栗東・浅見国一厩舎のスタッフに加わる。松田国英厩舎を経て01年に調教師免許取得、02年11月に開業。08年天皇賞・春をアドマイヤジュピタで制し、G1初制覇。ダービーは16年マカヒキ、18年ワグネリアン、22年ドウデュースで3勝。JRA通算4972戦726勝、うちG1・19勝を含む重賞65勝。