【エルムS】ペイシャエス 1年8カ月ぶりの復活V 横山和が巧みなエスコート「自信を持って臨めた」

2024年8月5日 05:18

(10)ドゥラエレーデをゴール前で差し切って勝った(9)ペイシャエス横山武史騎手  (撮影・千葉 茂)

 札幌競馬場で行われた「第29回エルムS」は5番人気ペイシャエスが横山和生(31)の巧みなエスコートで1年8カ月ぶりの復活V。重賞3勝目を飾った。

 会心騎乗に喜びがあふれた。ペイシャエスが先頭でゴール板を駆け抜けると、馬上の横山和は左腕を大きく振りかぶってガッツポーズ。「具合が良かったので自信を持って臨めた。流れをうまく読んでエスコートできた」としてやったりだ。

 隊列が早めに決まり、道中は戦前の予想に反したゆったりとした流れ。ペイシャエスは1番人気ドゥラエレーデの直後4番手で折り合った。直線はそのドゥラエレーデとテーオードレフォンの間を割って鋭伸。ゴール前で測ったように首だけ差し切った。見守った小西師も「理想的な競馬だった」とうなる好騎乗。横山和にとってエルムSは重賞初勝利(18年ハイランドピーク)と思い出のレースで「また札幌で勝つことができてうれしい」と喜びもひとしおだった。

 気候も味方した。昨年(8着)は暑さと輸送で体調を崩し、力を出し切れなかった。今年はレース当日を含めて昨年ほどは気温が上がらなかった。小西師は「暑さに弱いのでそれも良かった」と勝因を分析。加えて「昨年は馬自身も力が付き切っていなかった。5歳になって力を付けてきてくれている」とペイシャエスの充実ぶりを伝えた。

 ユニコーンS、名古屋グランプリに続く重賞3勝目。賞金加算に成功し、「出たいレースに出られないこともあった」状況を打破した。指揮官は「勝つことができたので、またプランを練り直していきたい」とさらなる大舞台を視野に入れる。横山和も「もっと頑張ってくれると思う。状態に左右されやすい馬なので、厩舎とうまく連携しながらやっていきたい」。3歳時にわずか0秒1差(22年ジャパンダートダービー)で取り損ねたG1タイトルに再び挑戦する日が待ち遠しい。 (田井 秀一)

 ペイシャエス 父エスポワールシチー 母リサプシュケ(母の父ワイルドラッシュ)19年3月18日生まれ 牡5歳 美浦・小西厩舎所属 馬主・北所直人氏 生産者・北海道様似町の高村伸一氏 戦績18戦5勝(うち中央11戦4勝) 総獲得賞金1億9192万5000円。馬名の由来は冠名+父名。

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