【セントライト記念】アーバンシック 切れ味鮮やか重賞初制覇!ルメール称賛「大人になっていた」

2024年9月17日 05:30

<セントライト記念>重賞初勝利を挙げたアーバンシック(中)、2着のコスモキュランダ(左)、3着のエコロヴァルツ(右)(撮影・郡司 修)

 春無冠に終わった素質馬が真価を発揮した。菊花賞トライアル「第78回セントライト記念」が16日、中山競馬場で行われ、2番人気のアーバンシックが中団インから抜け出し重賞初制覇。2着コスモキュランダ、3着エコロヴァルツまでが菊花賞(10月20日、京都)への優先出走権を獲得した。

 皐月賞4着、ダービー11着からの反撃。アーバンシックが春のクラシック路線をにぎわせた3頭の激戦を制した。手綱を取ったルメールはこの日5勝の“固め打ち”。「能力はあると思っていた。秋から大人になっていましたね。ジワジワ伸びる馬ですが、今回は力がついていたので外に出してからすぐギアアップしてくれた。最後も凄くいい脚」と手放しで相棒を称えた。

 初タッグを組んだ名手の完璧なエスコートが光った。道中は終始、中団インで折り合い専念。有力馬が進出した4角もまだ我慢する。前が空いた直線入り口でついにエンジン点火。粘り込むエコロヴァルツをあっさりかわすと、急坂の上でコスモキュランダを捉え切った。

 外から剛脚で追い込むスタイルから一転、この日はポジションを確保しながらロスのない立ち回り。“新味”を引き出せた鍵は精神面の成長だった。「元々、凄いパフォーマンスができる馬だと分かっていたが、どうしても競馬が上手ではなくて。うまく力を出し切れていなかった」と武井師。ひと夏を越えて「馬が成長して、ジョッキーもうまく乗ってくれた。(メンタルが)ダービーの頃は2歳馬くらいだったんだけど、今は2、3歳の間くらいにはなっている。ゆっくりだけど着実に成長している」。心身のバランスが向上し、好結果に結びついた。

 最高の形で菊花賞への優先出走権を獲得。淀の3000メートルという条件にもルメールは「距離は持つと思う。まだ良くなりそうだからチャンスはあると思う」とキッパリ。今後について指揮官は「状態などを踏まえて正式に決定していければ」とした上で、「次はいずれにしてもG1だと思うが、もっといいパフォーマンスを見せられるはず」と力を込めた。初タイトルを手にしても、まだまだ伸びしろ十分なアーバンシック。秋の中山から逆襲の物語が始まった。

 ◆アーバンシック 父スワーヴリチャード 母エッジースタイル(母の父ハービンジャー)21年3月16日生まれ 牡3歳 美浦・武井厩舎所属 馬主・シルクレーシング 生産者・北海道安平町のノーザンファーム 戦績6戦3勝(重賞初制覇) 総獲得賞金1億1922万8000円 馬名の由来は、洗練された(母名より連想)。

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