【菊花賞】鮫島駿 ショウナンラプンタとともに頂点へ!悲願のG1制覇「自信を持って乗れる感じ」

2024年10月16日 05:30

ショウナンラプンタで菊花賞に挑む鮫島駿

 秋G1でも核心に迫ります!担当記者が出走馬の陣営に本音をぶつける水曜企画「G1追Q探Q!」。牡馬クラシック3冠最終戦「第85回菊花賞」では大阪本社の栗林幸太郎(41)が鮫島克駿(27)を徹底取材。デビュー以来、一貫して手綱を取り続けているショウナンラプンタの新馬戦から今季に至るまでの道のりをひもといてもらった。人馬ともにG1初制覇が懸かる大一番だ。

 (1)出合い
 鮫島駿とショウナンラプンタの出合いは昨年9月のデビュー前。「(調教で)初めてまたがって、凄く動く馬だなと。間違いなく一級品というのはありましたけど、それ以上に課題があった」と思い起こす。騎乗してすぐ素質を感じたのと同時に気性面の課題にも気付いた。「左に張っていくところと、前進気勢が強過ぎるところ」の2点。「そこさえクリアできれば」。

 新馬勝ちをステップに参戦した東京スポーツ杯2歳Sは4着。弱点が浮き彫りになったのが3戦目のホープフルSだ。終始、行きたがるそぶりを見せて折り合いを欠いた。4角で大きく外に膨れて7着。ほろ苦いG1デビューになった。一転して今年初戦のゆきやなぎ賞はスローペースの中5番手で折り合うと直線、中を割って快勝。人馬息の合ったレース運びで能力を発揮した。「オーナーや先生の理解もあって、いい組み立てができた。継続して乗せてもらって凄くいいポイントでした」と振り返る。課題をクリアして結果を出し、ひと皮むけた一戦となった。

 (2)成長
 ゆきやなぎ賞から中6週で参戦した青葉賞は、折り合って確実に脚を使う持ち味を出しての2着。ダービーは不向き

 鮫島駿は、高野厩舎の馬にデビュー当初から騎乗している。現在も「毎日乗せてもらっています。ラプンタは2歳時から追い切りに乗せてもらって、平日も乗っている」と普段から稽古をつける。ショウナンラプンタの夏を越しての顕著な成長も実感している。

 「以前より折り合いがつきやすくなった。左に張っていく部分も、普段の調教から解消しつつあります」

 ポイントは操縦性の向上だ。今季初戦の前走神戸新聞杯3着も道中リラックスして末脚を引き出せた。敗戦の中にも本番に向けての収穫はたっぷりとなった。

 (3)チャンス
 キャリア10年目の鮫島駿は、21年フェブラリーS(エアスピネル)、23年桜花賞(コナコースト)で2着とG1勝ちもあと一歩だが「G1は勝ちたいけど、まず馬にとってベストと言えるレースをしないといけない義務がある」と騎手のプライドをのぞかせる。菊花賞は全馬が初距離となる淀の3000メートル。人馬の意思疎通が他のレースにまして重要となってくる。

 「距離は延びるし難しさはあると思うけど、そういったところを消せるように調整はできている。自信を持って乗れる感じ」と胸を張った。デビュー前からほれ込み、ここまで共に歩んできたショウナンラプンタは「菊花賞も十分チャンスはあると思う」と力を込めた。満を持しての初戴冠を目指す。

 ◆血に勢い 血統もショウナンラプンタの菊戴冠を後押し。父は今年のサイアーラインキング首位のキズナ。先週15日終了現在で158勝を挙げ、獲得賞金も34億5000万円を突破。2位ロードカナロアが現在123勝で獲得賞金29億円あまりと独走中。今年の菊花賞にはラプンタをはじめウエストナウ、シュバルツクーゲルと3頭出し。ラプンタは母がアルゼンチンG1セレクシオンデポトランカス(ダート2000メートル)に優勝した名牝。母系から豊富なスタミナを受け継いでおり、長丁場で本領発揮だ。(血統班)

 ◆巨漢 04年デルタブルース526キロ、12年ゴールドシップ500キロ。大型馬が強いイメージの菊花賞。ダービーを536キロ、神戸新聞杯を530キロで走ったショウナンラプンタが今回一番の巨漢。菊花賞優勝馬の歴代最高体重は15年キタサンブラックの530キロ。ラプンタが優勝なら記録更新の可能性も!?

 ◇鮫島 克駿(さめしま・かつま)1996年(平8)10月18日生まれ、佐賀県出身の27歳。15年3月に栗東・浅見秀厩舎所属で騎手デビューし、初騎乗は同1日小倉5Rクリノジュロウジンで13着、同14日中京2Rタピエスで初勝利。20年小倉大賞典(カデナ)で重賞初制覇。JRA通算6769戦508勝(うち重賞10勝)、今年77勝で全国リーディング7位(14日現在)。父・克也師は佐賀競馬の元騎手で現在は調教師、兄・良太はJRA騎手。1メートル60、48キロ。血液型B。

 【取材後記】10月18日が鮫島駿28歳の誕生日となるが「またひとつ年を取るな」と本人は淡々。自分のことはあまり語りたがらないが、馬の話になると目を輝かせて、こちらの質問に丁寧に具体的に答えてくれる。馬に対しても実直で、全くけれん味のないところが印象的。競馬では個人的な感情は持ち込まないことを身上に、常に馬のことを第一に考えてレースに集中する姿勢を見せる。気さくで愛想が良く、記者にはホースマンのかがみと思えた。ほれ込んだ愛馬とG1の舞台で大仕事を成し遂げて、祝砲を上げてほしい。 (栗林 幸太郎)

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