【ホープフルS】クロワデュノール95点 まるでイクイノックス!?柔らかく強い筋肉と強じんな首差し

2024年12月24日 05:30

<ホープフルS 馬体診断>好馬体のクロワデュノール

 大トリを務めるのはスーパーホースの異母兄弟!?鈴木康弘元調教師(80)がG1有力候補の馬体を診断する「達眼」。今年最後の大一番「第41回ホープフルS」(28日、中山)ではクロワデュノールをトップ指名した。達眼が捉えたのは昨年の年度代表馬イクイノックスを想起させる体つき。そして、馬名の「北十字星」のように冬空に輝く青鹿毛の被毛だ。

 血は水よりも濃いといいますが、それにしてもよく似ている。見栄えのいい青鹿毛の被毛、よく抜けた首差し、柔らかくて強い筋肉、余裕のある骨格のつくり…。フランス語で「北十字星」(クロワデュノール)と命名された2歳牡馬を眺めているうちに数年前のG1馬体診断で絶賛してきた名馬の姿を思い出しました。書棚からイクイノックスの写真を収めたファイルを取り出してみると…。

 水よりも濃い血の威力を改めて感じさせられました。牝系の血脈でファミリーラインを構成する馬の世界では、父が同じでも母が異なれば兄弟ではありません。とはいえ、キタサンブラック産駒のこの2頭は異母兄弟と呼びたくなるほど共通点が多い。最も顕著なのはシンが1本入ったような力強い首差しです。イクイノックスは3歳春を迎えてもキ甲が抜けていなかったが、首差しはよく抜けていました。クロワデュノールも同じです。キ甲が成長途上なのに素晴らしい首抜けをしている。

 首差しは競走能力を左右する重要な部位です。首を上下させてリズムをつくることで激しく体を伸縮させる全身運動が可能になる。イクイノックスに比べて少し細めの首差しですが、その強じんさは共通しています。

 張りに満ちた全身にも数年前のあのスーパーホースと同じ種類の柔らかくて強い筋肉を備えています。特に尻から臀部(でんぶ)にかけての丸みを帯びた筋肉は凄い。トモとつながる飛節は角度も良くて力強い。トモのパワーを余すことなく推進力に換えられる飛節です。余裕のある骨格のつくりも似ている。各部位のつながりに遊びがある中長距離仕様の骨格。1800メートルより今回の2000メートルの方が合います。ダービーの2400メートルにも対応できるでしょう。

 2歳馬とあってカメラマンに向けた顔つきは子供っぽい。尾に少し力を入れた立ち姿にも幼さが残っています。それでも、迫力を感じさせるのは強じんな首差しとトモを備えているからでしょう。

 イクイノックスを思い起こさせる見栄えのいい青鹿毛が輝いています。年の瀬を迎えると、西空の地平線に光彩を放つ北十字星のように…。(NHK解説者)

 ◇鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日生まれ、東京都出身の80歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70~72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許取得、東京競馬場で開業。94~04年に日本調教師会会長。JRA通算795勝。重賞27勝。19年春、厩舎関係者5人目となる旭日章を受章。

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