鞍上・菱田と復活へ励むテーオーロイヤル
2025年1月29日 05:05 日々トレセンや競馬場で取材を続ける記者がテーマを考え、自由に書く東西リレーコラム「書く書くしかじか」。今週は大阪本社の新谷尚太(47)が、昨年の天皇賞・春を制したテーオーロイヤルの近況を取材した。主戦を務める菱田裕二(32)はパートナーの復帰へ向けて日々、全力でサポート。現在の様子を聞いた。
復帰に向けて準備を進めている。昨年の天皇賞・春を制したテーオーロイヤル(牡7=岡田)が年末から乗り運動を再開。焦ることなく、マイペースで調教メニューをこなしている。年明けには主戦・菱田を背に馬場入りを始めた。鞍上は「今は角馬場中心の調整。今のところ速い時計を出すことなく運動の強度を上げ過ぎることがないように、時間をかけながら進めています」と近況を説明した。
昨年は山あり谷ありの1年だった。始動戦のダイヤモンドSで2度目の重賞制覇を飾り、続く阪神大賞典で重賞連勝。1番人気に支持された天皇賞・春で人馬ともに念願のG1タイトルを獲得した。6歳になり、競走馬として本格化。順風満帆に思えた矢先、左前脚に軽度の剥離骨折が判明。休養を余儀なくされた。
秋は京都大賞典からの始動が陣営から発表され、帰厩後は順調に調整を進めていたが、左前脚の橈骨(とうこつ)が腫れたため回避。目標をジャパンCに切り替え、運動を開始したものの、再び左前脚の中筋にダメージがあったため見送ることになった。その後は有馬記念を視野に入れたが、大事を取って年内休養が決定。菱田は「有馬記念に出走できなかったですけど、ファン投票(約25万票で4位)で選出していただいて本当にうれしかった」と感謝を口にした。
所有する馬主・小笹公也(ともや)氏も愛馬の復帰を心待ちにしている。「岡田師をはじめ、菱田騎手、厩舎スタッフの皆さまの手厚いサポートがあって、テーオーロイヤルはここまで成長することができました。再びターフに立つ姿は、きっと多くの人々に感動を与えてくれることと思います。チーム一丸となって、さらなる活躍を期待しています」とエールを送る。
昨秋は鞍上もケガに苦しんだ。菱田は9月14日の中京10Rで落馬負傷。約2カ月間、騎乗できなかった。「もう体は大丈夫。復帰にあたってロイヤルの存在がモチベーションになりました。今度は僕がロイヤルの復帰に向けてサポートをしていきたい」と意気込む。
現時点で復帰のメドは立っていないが、菱田は今後の目標について「去年の天皇賞・春が強い勝ち方でした。順調にそこへ向かえるように厩舎一丸となって頑張ります」と力を込めた。終始、和やかな取材だったが、最後の鞍上の力強い言葉が決意の表れ。復帰の日を心待ちにしたい。
◇新谷 尚太(しんたに・しょうた)1977年(昭52)4月26日生まれ、大阪府出身の47歳。18年5月から園田競馬を担当、同年10月に中央競馬担当にコンバート。前職は専門紙「競馬ニホン」の時計班。グリーンチャンネル「中央競馬全レース中継」のパドック解説を担当。