【ヴィクトリアM】アスコリピチェーノ 古馬マイル女王に輝く! 大外一気で待望G1・2勝目
2025年5月19日 05:25 春の最強牝馬決定戦「第20回ヴィクトリアマイル」が18日、東京競馬場で行われた。1番人気を背負ったアスコリピチェーノが力強く差し切り、23年阪神JF以来のG1・2勝目を飾った。また、20日に46歳の誕生日を迎えるC・ルメールは、うれしい25年のG1初勝利。黒岩陽一師(44)は、これがJRA通算200勝目のメモリアルVとなった。
歯を食いしばり、目標との差を詰め続けるアスコリピチェーノ。3歳春のNHKマイルCは不利のあったインでもがいたが、この日は大外を力強く伸びてくる。歴代勝ち馬の名牝たちに勝るのは、その精神力。アドマイヤリード、アーモンドアイ、グランアレグリアに続く当レース歴代最多4勝となったルメールは感嘆の様子だった。「とにかく“勝ちたい”という気持ちが強い馬。凄いメンタル。ゴール前で本当によく頑張った」。
人馬を苦しめたのは前日の雨が残ったソフトな馬場。五分のスタートでも行き脚が付かず、プラン外の最後方追走となった。直線は何度も手前を替え、なかなかトップスピードに乗れない。それでも名手は相棒の“闘争心”を信じ、「将雅さんの馬(クイーンズウォーク)をずっとマークする形」。どれだけ走りにくくても、眼前のライバルだけには負けない。必死の形相で首だけ出たところが歓喜のゴールだった。ルメールは「彼女にとっては好きじゃない馬場だったけど、坂を上ってからはいい瞬発力。凄く頑張ったね」。全力疾走をねぎらった。
成功サンプルとしたのが同じノーザンファーム生産、サンデーレーシング所属のソングライン。黒岩師は「まずはヴィクトリアMが春の目標。(22、23年ソングラインと同じくサウジアラビアの)1351ターフスプリントを始動戦としようというのは、当初の話し合いの中で決まった」と説明。3カ月という十分な準備期間で、完璧に近い状態をつくり上げた。師は「調教はしっかり攻め抜いた。精神力の強さはもちろん、フィジカル面も強くなったので調教のベースを上げられている」と目を細めた。
馬の状態を見極めながらになるが、次の目標は安田記念(6月8日、東京)。成功例に掲げるソングラインは2年前にヴィクトリアMからの連勝を飾った。「アーモンドアイ、グランアレグリアはスーパーホースだったけど、アスコリピチェーノもいいポテンシャルがある。トップマイラーになれる」とはルメール。阪神JF、1351ターフ、この日のヴィクトリアMでの2着馬との差は首、頭、首。次に待つ強豪牡馬たちとの激戦も、その気持ちの強さが武器となる。
◆アスコリピチェーノ 父ダイワメジャー 母アスコルティ(母の父デインヒルダンサー)21年2月24日生まれ 牝4歳 美浦・黒岩厩舎所属 馬主・サンデーレーシング 生産者・北海道安平町のノーザンファーム 戦績9戦6勝(うち海外2戦1勝、重賞5勝目) 総獲得賞金5億8830万6500円 馬名の由来はイタリアの都市名。