【日本ダービー】ショウヘイ95点 見せるためでなく機能性高い筋肉 顔つきにも好感
2025年5月27日 05:28 3歳馬の頂点に立つのは“ターフの翔平”だ。鈴木康弘元調教師(81)がG1出走予定馬の立ち姿を診断する「達眼」。今週はダービースペシャルとして5つのチェック項目(各20点満点)で採点、クロワデュノールとともにショウヘイを1位(95点)に評価した。達眼が捉えたのはドジャース・大谷翔平ばりの筋肉パワーと穏やかな姿勢だ。
名は体を表すと言います。大谷翔平を連想させるのはその馬名だけではありません。ショウヘイの馬体も筋肉マッチョなドジャースの主砲をイメージさせます。ユニホーム姿でも目立つ分厚い胸板と太い首。顔が小さく見えるほど広い肩幅。半袖の練習着になると、ムキムキの上腕やはち切れそうな太腿、腰周りがあらわになります。
ショウヘイの筋肉も凄い。大谷翔平の胸板の向こうを張るような胸前のボリューム、幅のある首の付け根。腰から尻にかけては、はち切れそうなほど盛り上がっています。しかも、それらのパワーあふれる部位がゆとりをもってリンクしています。体形は中距離でもつながりに遊びがあるので距離が延びても対応できる。大谷翔平のような超一流アスリートの筋肉は見せるためではなく、十全に機能させるためのものですが、ショウヘイの筋肉も機能性が高い。
休養明けの京都新聞杯でひと叩きされて中2週の“登板”になります。ダービーまでの間隔が中3週から中4週に延びた青葉賞に比べてきついローテ。大リーグになぞらえてもタイトな登板間隔ですが、疲労の兆候は見られません。細くならず適度に引き締まった腹周り。毛づやもキープしています。疲労のバロメーターになる腹周りと毛づやの良さから
目、耳、鼻先を前方の一点に集中させた顔つきには好感が持てます。ハミは穏やかに受けている。オルフェーヴル(母の父)のような我を張ったり、イラついたりする面が全くない。「イラッときたら負けだと思っています」。大谷翔平はメディアの取材に穏やかな笑みを浮かべてこう語ったそうです。平常心を保つことが超一流アスリートの条件なら、ショウヘイも…。名前負けしない超一流馬になってほしいからあえて注文もつけておきます。右前蹄の狭窄(きょうさく=すぼまって狭い状態)のせいか、姿勢が不安定。打席に入った大谷翔平のように、どっしりと立ってほしい。
ショウヘイが京都新聞杯を圧勝したのは、翔平が対ダイヤモンドバックス戦で決勝3ランを放った2時間後だったそうです。ダービーは対ヤンキース戦(6月1日)の数時間後にゲートイン。2分半の翔タイムから目が離せなくなりました。(NHK解説者)
◇鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日生まれ、東京都出身の81歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70~72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許取得、東京競馬場で開業。94~04年に日本調教師会会長。JRA通算795勝。重賞27勝。19年春、厩舎関係者5人目となる旭日章を受章。