重賞初挑戦Vの坂井「人とのつながり大事に」

2025年7月25日 05:00

坂井瑛音騎手(岩手競馬提供)

 【地方からの風】6日に行われた盛岡3歳芝重賞・サファイア賞で、デビュー2年目の坂井瑛音(えいと、18)が8番人気の伏兵サンカリプソ(牝=菅原勲)で逃げ切りV。鞍上は芝、重賞共に初挑戦で初制覇の快挙を達成した。「何となく逃げ切っちゃいました」と笑顔で振り返った坂井。サンカリプソを所有する加藤ステーブルの加藤天明社長は、昨年度の岩手冬季休養中に菅原勲師の紹介で目をかけてもらい、今回の騎乗依頼へとつながった。加藤氏は1番人気2着だったゲレルも所有。レース後には「お前じゃないんだよ」と冗談交じりで祝福された。坂井は「人とのつながりを大事に感じました」と語る。また当日は東京から母親が盛岡に応援に来ており、見事な手綱さばきで親孝行を果たした。

 東京都渋谷区出身の瑛音は、競馬好きの父に東京や中山、大井競馬場へと連れていかれ競馬に興味を持つように。中学卒業後の進路に、小柄な体格に合う騎手を目指した。中央の騎手試験は2次で脱落も地方に合格。南関4場も所属先に浮かんだが、自身の技量に不安があり、教官が薦めてくれた岩手を選択。新人受け入れに手を挙げていた菅原勲厩舎に所属した。「まだまだですね。素質馬の多い厩舎ですし、まずは調教をきっちりとこなすことです。乗り鞍を頂ければ一つでも上の着順を目指したい」。そう語った弟子に対し、菅原勲師は「学校で成績が悪かったと思うのであれば、他の人よりも何十倍と努力しないとダメ。そこが足りないかな」と現状での課題を答えてくれた。目標の騎手は実習生の時から見ていた及川(旧姓坂口)。クセのある馬を上手に扱っていたのが印象に残ったそうだ。8月6日に門別で開幕するヤングジョッキーズシリーズは9月30日の船橋から参戦する。末広がりの「八」を意味してつけられたエイトの名前通り、全国に名を広げる成績を残してほしい。(田中 辰幸)

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