夢かなえ3月デビュー 舟山の忘れられない1勝 父は船橋の厩務員、手がける馬で悲願
2025年7月25日 05:10 【競馬人生劇場・平松さとし】
28日に19回目の誕生日を迎えるのが、舟山瑠泉騎手(写真、美浦・田中博康厩舎)だ。千葉県出身で、父は船橋競馬の厩務員。男ばかり4人兄弟の次男として育てられ、幼い頃には既に騎手という夢を抱いていた。
「10歳の時“2分の1成人式”という催しが学校でありました。その時、将来の夢を発表する場があって、迷いなく“騎手になりたい”と言いました」
小学5年になると、中山競馬場の乗馬苑で乗馬を始めた。しかし、常に強い情熱が燃えたぎっていたわけではなかった。
「正直、それほど真剣に乗っていなかったので、あまり面白さも感じていませんでした」
そんな思いで約1年過ごした頃、同期たちとの試合が組まれた。結果は…。
「9人中7位という成績でした」
悔しさが胸を突き刺した。そこで心を入れ替えた。
「少しでもうまくなりたいと本気で思って乗るようになると、どんどん楽しくなっていきました」
結果、2年目の試合では見事に優勝。中学1年で出場したジョッキーベイビーズでも全国大会へと駒を進め、東京競馬場で決勝に臨んだ。
「初めて乗った東京競馬場は本当に気持ち良くて。絶対に騎手になって、ここに戻ってくると誓いました」
その誓い通り、今年3月に念願のデビュー。最初は「模擬レースとは比べものにならないスピード感」に戸惑ったが、場数を踏むうちに徐々に慣れ、先週20日の競馬を終えた時点で8勝をマークした。
また、この8勝とは別に、デビュー直後に船橋でエキストラ騎乗した時の1勝を「忘れられない」と話す。その勝利は厩務員である父が手がける馬でのものだった。
「父の馬で勝つのは大きな目標の一つだったので、本当にうれしかったです」
現在は北海道に滞在している舟山騎手。18歳最後の騎乗となる今週末も、お父さまはきっと船橋から温かく声援を送っていることだろう。さらなる飛躍を願って、心からエールを送りたい。(フリーライター)