縁のある英国での騎乗が楽しみな坂井と岩田望

2025年8月8日 05:05

19年、サンダウン競馬場での坂井瑠星(撮影・平松 さとし)

 【競馬人生劇場・平松さとし】
 9日、英国アスコット競馬場で「シャーガーカップ」が開催される。

 シャーガーCは日本のワールドオールスタージョッキーズと同様、世界各国から名騎手が一堂に会し、レースごとの着順に応じてポイントを争う企画である。今年は「英愛」「欧州」「世界」「アジア」の各選抜4チームの争いとなり、初めて結成された「アジア選抜」のメンバーに、日本から坂井瑠星騎手と岩田望来騎手が名を連ねている。

 彼らを応援すべく、私も現地に足を運んでいるのだが、実はこの2人とは、それぞれに英国での思い出がある。

 岩田望騎手は彼の父、岩田康誠騎手が日本ダービーを勝った12年のこと。勝ち馬ディープブリランテとともに、その約2カ月後には英G1キングジョージ6世&クイーンエリザベスSに挑戦した(8着)。当時、12歳だった望来少年も一緒に現地入り。父を見つめるまなざしが、今も心に残っている。

 一方、坂井騎手との縁はもう少し最近。19年、シュヴァルグランやディアドラが英国遠征に挑んだ際、私は取材で現地を訪れていた。その時、ケガで騎乗を離れていた坂井騎手も英国に滞在していた。リハビリ中にもかかわらず、「競馬発祥の地」を肌で感じようというその姿勢に感心したものだった。

 特に忘れがたいエピソードがある。ある日、私はリングフィールド競馬場とサンダウン競馬場の両方を1日で取材しなければならなかった。日程は過密で、移動距離も長い。しかし、その話を坂井騎手にすると、彼は迷わず言った。

 「一緒に連れて行ってください」

 宿舎で休んでいても誰も責めはしないのに自ら積極的に現地の競馬場を訪れたいと申し出てきたのだ。その行動に「この若者はきっと大成する」と確信したことを今でも覚えている。

 2人共、今ではG1ジョッキーとなり、アジア選抜として英国から招待されるまでになった。世界を相手にどんな騎乗を見せてくれるのか、楽しみでならない。 (フリーライター)

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