【有馬記念】ダノンデサイル 闘志への点火はご法度!? 軽め最終リハ「精神面をより穏やかに」

2025年12月25日 05:30

坂路で追い切るダノンデサイル(撮影・亀井 直樹)

 「第70回有馬記念」の追い切りが24日、東西トレセンで行われた。今年の皐月賞馬で天皇賞・秋2着から挑む3歳ミュージアムマイルは栗東坂路で併せ馬。いつも通りに1週前追いでビッシリ負荷をかけ、今週は微調整。力強い走りで充実ぶりをアピールした。先週の朝日杯FSをカヴァレリッツォで制したC・デムーロとのコンビ継続でグランプリ制覇を狙う。昨年3着に続く参戦のダービー馬ダノンデサイルも同じく坂路で最終リハ。精神面を考慮した軽めの調整で体調を整えた。陣営は英遠征明けの前走ジャパンC3着から上積みを感じている。

 闘志への点火はご法度!その覚悟と信念が陣営にあるからこそ単走でスローな登坂。ダノンデサイルの坂路4F55秒3~1F13秒5は時計にフォーカスする必要もなく、なだめるまでもない意思の疎通に集約される。

 安田師は中間の調整と課題を「(ジャパンCの)レコード決着の反動は問題なく、むしろ上積みを感じているくらいなので、それを台無しにしないよう冷静に馬がレースを迎えることが重要。精神面をより穏やかにすることを心がけて中間は調整している」と明かした上で、最終追いはさらに一歩踏み込んだと続けた。

 「もう1段階、穏やかな状態を求めていいのかな、と感じたので今日は過度な刺激や指示を出すこともなく軽い追い切り」と、あくまで“静”を強調。ある意味、勇気ある仕上げだ。

 そこまで徹する理由は明快。戸崎がこの日の会見で「最近は気持ちにスイッチが入ってきている」と懸念材料を口にするほど気性がハッスルしがちだからだ。道中、折り合って直線の追い比べに気迫と脚力を発揮する優等生の競馬から、やや遠ざかっているのが当事者の胸の内。だからこそ最終追いは制御の利いた時計でリズミカルなステップを踏んだ特別仕様の内容に意味がある。

 安田師が表情を緩めたのは会見後の囲み取材の時だった。今日の公開枠順抽選会は「もちろんジョッキーに引いてもらう」とし、「最終4コーナーで内と外の両方に馬がいる形が理想。枠順より重要なのはそこ」としたのは、右回りだと4角で外に一瞬、膨れ気味になるからだ。身ぶり手ぶりで説明するしぐさに、どこか心地よさがある。

 日本ダービー馬。世界ランク1位のフランス調教馬カランダガンとは海の向こうとホームの府中で渡り合って1勝1敗で五分の戦歴。その勲章と事実だけでもダノンデサイルが有馬記念で大威張りできる存在だと言える。

 ≪戸崎 異なる馬で連覇なら3人目≫ダノンデサイルとコンビを組む戸崎は昨年レガレイラとのコンビで14年ジェンティルドンナ以来、2度目の有馬記念V。異なる馬で騎手の連覇達成なら高松三太(60年スターロツチ、61年ホマレボシ)、オリビエ・ペリエ(02&03年シンボリクリスエス、04年ゼンノロブロイ)に続き、3人目の記録となる。

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