パンジャタワー 来月サウジ遠征へパワーアップ 五十嵐助手「期待通りの成長曲線」
2026年1月21日 05:20 日々トレセンや競馬場など現場で取材を続ける記者がテーマを考え、自由に書く東西リレーコラム「書く書くしかじか」。今週は栗東取材班の坂田高浩(41)が担当する。受諾済みのサウジアラビアの1351ターフスプリント(2月14日、キングアブドゥルアジーズ)に向けて調整中のパンジャタワー(牡4=橋口)を担当する五十嵐公司助手(50)を取材。デビュー前から素質の高さを肌で感じ、その期待通りに昨年のNHKマイルCを制覇。今年初戦への意気込みなどを聞いた。
短距離からマイルまでの路線で今年、さらに存在感を増していくはずだ。昨年のNHKマイルC覇者パンジャタワーがサウジアラビアの1351ターフスプリントで今年初戦を迎える。4日に滋賀県大津市のチャンピオンヒルズから栗東に帰厩。担当の五十嵐助手は「またがってからの歩き方一つにしても以前とは全然違います」と成長を感じている。「フラフラしていたのが解消され、ビシッと歩けるようになりました。同じ時間でもトレーニングの負荷が変わります。期待通りの成長曲線を描いてくれて、パワーアップしています」と笑みがこぼれた。
海外遠征は昨年オーストラリアのゴールデンイーグル5着に続く2度目。初めて海を渡った当時について「帯同馬(僚馬イサナ)に付きっきりで、調教や馬房にいる時も日本と変わらない雰囲気。オーナー(深澤朝房氏)に行きのチャーター機を用意していただき、不安がない状態でした」と回顧。それだけに結果を出せなかったことに無念さが残る。中団から馬群を割って伸びてきたものの、はじけ切れなかった。「タイトな競馬でスペースがなくなりました。本来なら外に出したかったところですが、閉じ込められてしまって…」と敗因を分析。「走り切っていない感じで疲れはさほどありませんでした。帰国してチャンピオンヒルズでもすぐに乗り出して順調に来ています」と近況を伝えた。
デビュー当初から大物感を漂わせていた。24年9月の新馬戦前に五十嵐助手とすれ違った際に「この馬、凄いです。覚えておいてください」と絶賛していたのを思い出す。当時、同年7月の中京記念で重賞初Vを飾ったアルナシームも担当。その先輩僚馬に負けず劣らずの期待をかけていた。「ゲート試験の時ですかね。これは!っていう確信に近いものがあったんです。シンプルに脚が速くて。レースで能力を発揮してくれれば、と思っていました」と振り返る。担当馬と向き合いながら、ここまで素材の良さに磨きをかけた。
アルナシームに携わった経験が今に生きている。「今のパンジャタワーがあるのは、あの馬のおかげです」と言い切った。「僕の中では難し過ぎた馬。こんな細かいことまで考えないとリズムが崩れてしまうってくらいに。全部を教えてくれた馬でした」としみじみ。デビュー前から引退までの約4年半は同助手にとってのかけがえのない期間だった。だからこそ、後輩馬にも可能な限り全てを注ぎ込む。まずは今年初戦のサウジアラビア遠征で、どんな走りを見せるのか。「本当に楽しみ」と愛馬をなでながら、国内外での活躍に手応えをにじませた。
◇五十嵐 公司(いがらし・こうじ)1976年(昭51)1月9日生まれ、東京都出身の50歳。立命大理工学部卒業後、滋賀県のグリーンウッドでの牧場勤務を経て04年に栗東トレセンへ。重賞を制した過去の担当馬は安田隆行厩舎所属時のレッドアルヴィス(14年ユニコーンS)、現在所属する橋口慎介厩舎のアルナシーム(24年中京記念、25年中山金杯)がいる。
◇坂田 高浩(さかた・たかひろ)1984年(昭59)11月5日生まれ、三重県出身の41歳。07年入社で09年4月~16年3月まで中央競馬担当。その後6年半、写真映像部で経験を積み、22年10月から再び競馬担当に。
