19年英国遠征での友道厩舎の周到な準備

2026年7月24日 05:27

英国ニューマーケットに滞在したシュヴァルグラン(撮影・平松 さとし)

 【競馬人生劇場・平松さとし】25日、英国アスコット競馬場でキングジョージ6世&クイーンエリザベスS(G1)が行われる。

 今年はマスカレードボール(牡4=手塚久)とヴェルテンベルク(牡6=宮本)が出走予定。そんな英国最高峰のレースに、2019年に挑戦したのがシュヴァルグラン(牡・当時7=友道)だった。

 17年のジャパンC(G1)を制した同馬は、レース前、英国最大の調教拠点として知られるニューマーケットのアビントン・プレイス・ステーブルに滞在した。同厩舎を管理していたジェーン・チャップル=ハイアム調教師は、日本からやって来た挑戦者に最大限の敬意を示すように、通常よりも一回り大きな馬房を用意。それは、豪州の名牝ブラックキャビアがロイヤルアスコットでG1を制した際にも使用された、いわば“VIP馬房”だった。

 比較的冷涼な気候で知られる英国だが、この年は異例の猛暑に見舞われ、連日36度前後まで気温が上昇した。広々とした馬房は、暑さの中でコンディションを整えるシュヴァルグランにとっても、決して小さくない助けになったはずだ。

 それでも結果は11頭立ての6着。2強と目されたエネイブルとクリスタルオーシャンによる名勝負の輪の中には加われなかった。

 敗因が当日の朝まで降り続いた雨で緩んだ馬場だったのか、休み明けの影響だったのか、それとも別の要因があったのかは分からない。ただ、その遠征を振り返ると、日本から大型の扇風機を持ち込む、事前に競馬場でスクーリング(下見)を行う、さらにパドックだけメンコ(耳覆い)を着用させるなど、あらゆる可能性を想定した陣営の準備には何度も感服させられた。

 海外遠征に「絶対」はない。それでも、勝利の可能性を一つでも高めようと細部まで積み重ねた工夫と努力は、結果だけでは測れない価値がある。今年、マスカレードボールとヴェルテンベルクもまた、それぞれの陣営が積み重ねてきた万全の準備を胸に、世界最高峰の舞台へ挑む。日本馬の新たな歴史が、アスコットの芝に刻まれることを期待したい。 (フリーライター)

特集

2026年7月24日のニュース